2:あの日 ページ3
智side
Aの容態が急変したのは、春の日にはにつかわない雪が降った日だった
A「さとさん…」
智「どうした？」
A「っ…｣
音にもならない声を発した彼女はそのまま床に倒れていった
スローモーションを見ているかのようなゆっくりとした映像なのに手も足も出なかった
智「A！」
智「A、A！？ねぇ起きろよ！おい！」
元々心臓が弱かったA
雅紀と和也の時は朝は仕事してあとは安静にしながら、あまり負担をかけないようにって無痛分娩で産んだんだ
でも今回は双子でしかも前よりも心機能低下してる状態でのことだった
発作の薬もあまり使わない方がいいからって8ヶ月ぐらいからはずっとベッドの上での生活
それでも
雅「今日給食お代わりしたよ！」
和「ママはい！」
子どもたちが1日あったことをベッドの上に乗って笑顔で話すんだ
その時の笑ってるとも悲しんでるとも言えない顔は今でも思い出すよ
倒れ意識を失ったAはそのまま緊急搬送されてICU管理に…
夕方には搬送に使われた道路は通行止めになり、不幸中の幸いというか、積もる前でよかったと心から思った
それからなんとか意識回復して持ちこたえてくれて、入院のまま週数を待って帝王切開で双子は産まれたんだ
その日は前後1週間ずっと雨だったのに、ピタッとやんで昨日の雨が嘘のように晴れた
天気みたいに症状も良くなればよかったんだけど…
なんとか辛うじて動いていたAの心臓は良くなることは無く、なんとか薬で維持していくしか方法がなかった
でも寝てばかりじゃ血流が滞るからって、偶然幼稚園が近くにあったから、その送り迎えの許可を先生が出してくれたんだ
近くにしといてよかったよ
そして双子が産まれて2年ちょっと経ったある日…
A「さとさん」
智「起きてて大丈夫！？」
A「動悸も止まらないし、脈も安定しない…もうダメかも…」
智「ちょっ…」
A「病院連れてって…」
すぐに病院に連れてって、そのまま入院
それから1週間後…
眠ったようにAは向こうの世界に行った
雅紀は来年小学校、和也はまだ3歳、翔と潤なんて2歳になってすぐだった…
智「うぅ…(´；ω；｀)」
雅「パパ…」
智「雅紀…」
翔「ぱぁぱ、まぁは？」
智「ママはね…(´；ω；｀)」
双子には亡くなったなんて言えなかった…
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作者名：バリュー | 作成日時：2018年10月20日 20時
