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「いい案ですね!」
にこにこと笑ううらたは嬉しそうだ。笑顔黒いぞ。からかいがいのある玩具を見つけたように笑わないでくれ。いじめっこかよ。
「ぶ、部長?何か勘違いされてるみた」
「A…中々素直になってくれないんですよ」
「なにいってんだお前」
少し悲しそうに俯く(ふりをする)うらたに突っ込みをいれるも、私は空気なのか部長は私を無視してうらたの手をぎゅっと握った。え?もう部長難聴なの???
「うらたくん…頑張るんだよ」
「はい!部長!」
「えいや私の立場は?」
「では私はこれで」
ぶ、ぶ、部長おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
満足気に去っていく部長を見送り、そろそろ部長変わるかなと期待を持つ。というかはよ変わってくれ。なんだよこれ。部長どうしたよ。うらたに洗脳された?ていうか勝負なら私を応援しろよ。
「部長が来月のトータルで勝負するってさ」
「What?????」
だれか、たすけて
▼▽▼
「ってことなんだけどどう思う?」
「大人しく負けた方がええやろ、どうせ勝てへんし」
「坂田私にだけ冷たいよね、特別扱い?」
「ポジティブさやったらうらさんといい勝負やのにな」
いやそれな。不公平すぎだろ。人間誰しもそんな簡単には変われないっての。相手はうらただぞ?部長の髪の毛全部抜いてやる!!!!!と酒を飲んでわーわー愚痴を溢す。今日はうらたは居らず、二人での久しぶりの飲み会である。まぁ飲んでるの私だけだけど。
「んで、どうしたいん」
「……まずは、あれ、かな」
そう言って私の視線を追いかける坂田はぴくりと眉を動かした。
「あれ、まさか」
見覚えのある顔、姿。ハンカチを拾った、あいつ。
「………私のストーカー、なのかなぁ?」
こいつが片付かないと、仕事なんかやってられない。
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