合コン0敗男子 【urt】

27 ページ27

.




　｢昼いくぞー｣

うらたが帰ってきた後にも私は怒る気にもなれず、掌で転がされてるなぁと実感した。本来なら私が転がすはずなのに。あっれれー、おっかしいぞぉ？

　｢今日坂田は？｣

　｢仕事溜まってて来れそうにないって｣

　｢志麻さんはいつも通り残業ルート、センラさんは｣

　｢あいつは今日上司とだろ、週一でそうだし｣

今日は二人っきりか。





ん？？？まてよ。
二人っきり？？？？

　｢……ちょっと、お手洗い行ってくる｣

　｢早く帰ってこいよ、食べる時間なくなるぞ｣

　｢わ、わかった｣

高速でトイレに走り個室の扉をバタンと強く閉める。大きな音をたててしまったことは反省している。後悔はしていない。

　｢……あー｣

どんどん火照る頬に手をあてても、熱は下がるどころか上がるばかり。こういうときだけ冷え症が役に立たない。意味わからん。

好きと自覚したのが昨日の夜。いつものノリで過ごしていたけれど、気付いてしまったが最後。意識すれば最後。

二人っきりと気付いてしまったが最後。



▼▽▼



　｢……お待たせ｣

　｢俺もう先食べるぞ｣

　｢ああ、うん、いいよ…｣

脳を酷使した為かふわふわとした言葉しか出てこない。うらたと一緒にいただきますが言えないのか、と思いつつ定食を頼み、トレーを持ってうらたの正面の席に座る。

　｢…あれ、食べてないの？｣

　｢待ってたんだよ、早く食べるぞ｣

そう言っていただきますと言ったうらたに続いていただきますと溢して箸をとる。箸を持ってない手で口を隠した。

……だめだ、待ってたのかわいすぎる。

28→←26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す