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「い…おい、起きろ」
「………ぅん?」
欠伸をしながら、目をこする。眠い。凄く眠い。なんだっけ。うらたの家で寝てたんだっけ。だからうらたが私を起こしてるのか。
「……はよ」
「早く家かえって色々準備しろよ?」
「……準、備?」
「昨日の服のまんま行くわけには行かないだろ。着替えてこい」
ぼけーっとしていた脳はすぐに覚醒し、急いでスマホを手に取った。7時なら物凄くまずい、と思いながらロック画面を見ると、そこに表示されているのは5時。
なるほど、通りで眠いのか。
「……あと10分」
「追い出すぞ」
「だって始発まで20分あるじゃん…」
「まず起きて外に出れる身なりを整えるのに15分。敷き布団を片付けたりするのに5分」
「えぇ…」
そうは言っても布団が私を離してくれない。Aちゃんまだ行かないでって言ってる。よしわかった私はこの布団と共に添い遂げ…ないですすみません。嫌だと全身で意思表示をするように布団にくるまり、枕に顔を押し当てる。
「っあーもう」
「どうだうらた!私の執念はすご」
「起きなきゃキスすんぞ」
「は??????????」
思わずうらたの方を見る。なにいってんだこいつ。頭大丈夫そ???というか耳赤いじゃんやめろよ。こっちまで照れるわ。
「キスか起きるかどっちがいい?」
「起きますありがとうございますお世話になりました」
勢いよく飛び起き、洗面所へ走る。あの男、時々心臓に悪い。いやいつもか。このバクバクしてる心臓を誰か止めてくれ。恥ずかしすぎる。準備準備、と鏡を見れば少し赤くなった顔が映って、余計恥ずかしくなった。
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