Crazy Moon ～騒ぎタテルごーすと～【浦島坂田船】 (ページ40)

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episode.110 ページ40

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　『どうやら壊れてきているみたいだな』

　｢……グリム、っ｣

大きなモニターで彼女を監視していたグリムはこちらを振り向き、俺たちの姿を見て愉快に笑う。

　『その状態で喋れるとは、中々の忍耐だな、うらた』

　｢…さか、た、起きろ｣

笑うグリムを無視し、俺と同じ状態の坂田に声をかける。

　｢………わかっ、とるで、うらさ、ん｣

　『魔力を封じたのに坂田も意識があるとは…面白い』

俺と坂田は鎖で動きを固められ、壁に張り付けられている。魔力を奪われ抵抗する術がないが、喋ることはできる。純血の怪物だからこそできることで、志麻やセンラのような混決の怪物なら死んでいただろう。

魔力を根源としている坂田が意識を保てているのは驚いたが、そちらのほうが好都合だった。

　｢…俺たち、を…どうするんですか｣

　｢このっ…グリ、ム｣

　｢…坂田｣

やめとけ、と声を出すと、じゃらじゃらと揺れていた鎖は動きを止め、坂田は俯く。次第に坂田はコンクリートの床に染みを作り、歯を食い縛った。

　『従順"だった"うらたには教えてやろう

　そうだなぁ……志麻とセンラは抵抗、反抗の意志がある場合殺し、Aは俺に忠誠を誓うのなら嫁にする。ただそれだけだ』

　｢………そう、ですか｣

　｢っAが、誓うわけ、ない、やろ｣

　｢おい坂田っ……｣

　『従順なうらたとは違い、口の悪いやつだ。黙ってろ』

そう言ってグリムは坂田の喉を潰したのか、反抗しようと坂田は声を荒げようとするも、喉はヒューヒューと音を鳴らすだけだった。

　『見事に滑稽だな…さて、あの醜い二人はどこだろうな』

そういってモニターの画面を彼女から切り換え、志麻とセンラを映そうとしたそのとき。

　｢…俺がほんまに喋れへんとでも思ったか？｣

坂田がモニターを魔法で潰し、するすると鎖を解いていった。底の魔力は奪われなかったのか、本調子の坂田が隣でにやりとグリムに笑いかける。しかし、その姿に戦くどころか、グリムは先程よりも愉快に、そして憎く笑いあげるのだ。

　『面白い…あぁ、もっと俺を楽しませろ…！』

あぁ、どうか誰か。Aを救ってください。