Crazy Moon ～騒ぎタテルごーすと～【浦島坂田船】 (ページ38)

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episode.108 ページ38

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いっそみんなで死んでしまおうか。そう思ったこともあった。みんなを巻き込むのは申し訳ないけれど、多分みんなわかってくれる。そう思っていた。

だけど、一本の電話でそれは無理だと、現実をはっきり見せられてしまった。

　"純血として、いい子孫を残すのよ"

それは母からのたった一言だった。母が悪いわけではない。純血という言葉に縛られた怪物たちは混血にならぬよう、グリムに命を握られないよう、美しく清らかな血筋で生きていかなくてはならない。だから当然なのだ。

俺と坂田が美しく清らかな、穢れを知らぬ子孫を残していかなくてはならないことは、みんな知っている。それがここの常識なのだ。

混血の怪物の命はグリムに握られている。俺たちがグリムに逆らえば志麻とセンラは勿論、Aですらどうなるかがわからない。

　｢Aは、生きたいか、？｣

眠ったままの彼女の頬をするりと撫でる。坂田のお陰で外見的損傷はほぼ消え、頬や額に切り傷が残るほどになった。

　｢Aに、任せる｣

聞こえていませんように。

　｢A、俺たち、お前のためなら｣

責任を負わせませんように。

　｢死んでもいい｣

傷を負わせませんように。

　｢愛してる、A｣

俺の弱々しい声が、君に届いていませんように。