Crazy Moon ～騒ぎタテルごーすと～【浦島坂田船】 (ページ37)

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episode.107 ページ37

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　｢坂田、どうだ｣

　｢結構な損傷やでこれ…元に戻るかどうかわからんわ｣

志麻とセンラは治療薬の製作に必要な材料を集めに魔界中を旅している。目の前には頭の半分が抉られた彼女と、それを直す坂田。

　｢Aが痛みをほぼ感じてないのが唯一の救いやけど…｣

　｢坂田、話、聞いてくれ｣

手から魔方陣を放つ坂田の横にしゃがみ、じっと目を見据えた。ただ事ではないと感じた坂田は、俺を真っ直ぐ見つめてくる。

　｢お前は、仲間とAを選べるか？｣

目を見開いた坂田は黙ったまま、Aへと視線を落とした。

　｢もう、時間なん？｣

　｢Aがこの危機を脱したら、次の危機がまたやって来る。その危機との間で、決まる。｣

　｢そんなん、無理や、俺、俺｣

　｢落ち着け、坂田｣

　｢落ち着いてられへんわ！！！！！俺、そんな、まーしぃとセンラとAを、選べへんよ…｣

立ち上がって息を荒くする坂田を無理やり座らせ、背中を撫でる。ごめん、と溢した坂田に俺もごめんと言う。

　｢なんにせよ、時間がない｣

　｢…俺、は｣

　｢坂田、今すぐ決断を下さなくていい、落ち着いて、よく考えるんだ｣

　｢………うん｣

俺は、諦めたくない。諦めない。

　｢うらさん｣

　｢なんだ？｣

　｢俺が、純血じゃなかったらよかったのにな｣

そう言った坂田の目は虚ろで、俺はこれ以上何も言えなかった。