episode.101 ページ31
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「あれ、センラは?」
「朝食作ったらすぐどっか行った」
席についた志麻の前におかれている朝食は相変わらず出来がいい。毎朝これを食べていると、ランチ○ックばっか食べていた頃が懐かしく思えてくる。
「まーしぃにしかタメ口にならへんのどうにかしてやぁ…」
「うるさい坂田」
「口悪くなるときだけタメ口なんなんなん」
「ん?ナンナン?ナン食べる?ナンナン?」
「おいやめろ」
発作のようにナンナンと呟きだしたうらたさんの処理は坂田に任せて志麻と一緒に食事をとった。特にしゃべることもなく食器を時々カチャカチャと鳴らして食べる。
昨日からずっと金の文字が暖かいように感じる。痛いとかそういうものではなくて、冬場とかには優しい暖かさ。そんな感じ。
「…どした?」
「いや、なんでもない」
止まっていた手を再び動かして、ささみを食べる。すると、奥のドアが騒がしく開いて、埃まみれのセンラさんが出てきた。
「見つけたで、やっと…」
「あのー、汚いんで部屋出てって貰えます?」
「Aは冷たいなぁ…ぴえん」
「黙ってお風呂場行ってください」
「ぴえんぴえん」
「志麻、物理的に黙らせてきて」
「おっけー」
「ごめんなさい黙っていってきます」
そう言って一瞬でいなくなったセンラさんは、数冊の本を落としていった。
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巫鳥(プロフ) - この作品大好きです!これからも楽しみにしてます! (2019年12月29日 15時) (レス) id: 92f83285a3 (このIDを非表示/違反報告)
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