episode.96 ページ26
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｢ってことで、人間界に帰れなくなった｣
｢……はい？｣
テレビ画面に映る、瓦礫の跡。どうして戻れないのかなんて、その画面が全てを物語っていた。うらたさんの言葉にも納得がいく。
｢最初は逃げられるかどうか競争しとったのに逃げられへんなったな｣
｢……そうでしたっけ？｣
｢最近物忘れ激しいな｣
坂田の言葉に疑問を持っていると、志麻からのツッコミがとんでくる。…私、そんなに忘れぽかったっけな。
｢なぁ、センラ。最近Aおかしいよな…｣
｢そうやね…まぁ、人間ってそういうもんやからあんまり深追いしんときや｣
志麻とセンラさんの繰り出す会話に違和感を覚えながらも、テレビをじっと見つめる。あんな所に頼まれたって帰りたくない。どうせ辛いだけ。なんで私はあんな世界に帰ろうなんて思っていたのだろうか。
｢…結婚はしないですけどこの世界もいいなって最近思ってきて｣
｢ほんまに？！？！ずっとずっとここにおってくれる？俺と生きてくれる？｣
｢いや、結婚しないです｣
纏わりついてくる坂田をひっぺ返して、センラさんが淹れた紅茶を飲む。時間という概念がないから、いつまでものんびりしてしまう。バリバリのキャリアウーマンだったのに、その面影を全く感じられない。
飲み干すと、カップの底から文字が浮かびあがった。
｢…センラさん、これって｣
｢しーっ…バレたらあいつらうるさいから｣
あいつらと言って彼が投げた視線の先はわちゃわちゃとする三人。頭にメッセージを叩き込んで、一度仮眠をとることにした。
"夕食後、センラの部屋に来てください"
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巫鳥(プロフ) - この作品大好きです！これからも楽しみにしてます！ (2019年12月29日 15時) (
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