検索窓
今日:30 hit、昨日:1 hit、合計:78,424 hit

episode.95 ページ25

.





それから、何かが狂ったように回り出した。


 「A」

 「うらたさん、どうしました?」


何事に対しても笑顔で接するようになった。


 「A、ちょっと聞きたいことがあるんやけど…」

 「はい、なんですか?…って、うわぁ」


面倒なことにもなんだかんだ言いながら取り組めるようになった。


 「AA!俺今日実験成功してん!」

 「じゃあ祝いのケーキ作りますか!」

人の喜ぶ顔が好きになって、人の達成を喜べる人になった。

良いことずくめ、のはず、なのに。何かが抜けているような気がしてならない。私にはもっと大切な、なにか、言葉で表せないような。


 「…A」

 「あ、センラさん。今日も夕食美味しかったです、御馳走でした」

 「良かったわ、御粗末様でした」


でも、何故かセンラさんを見るとその胸騒ぎもなくなって、ある意味普通に接することができる。前の冷たい、人に興味がないけど、人にはちゃんと感謝する自分がひょっこりと顔を出すのだ。


 「俺だけに冷たいなぁ」

 「…何故か本能がそうするんです」

 「俺のこと嫌いなん?」

 「嫌いじゃないですけど、本能が嫌ってます」

 「…よう、わからへんわぁ」


センラさんは、何か知ってる。私がこうやってセンラさんにだけ差別をしていることも。私の中で欠落した何かを。


いつか、教えてくださいね。

episode.96→←episode.94



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (135 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
837人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

巫鳥(プロフ) - この作品大好きです!これからも楽しみにしてます! (2019年12月29日 15時) (レス) id: 92f83285a3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shiyu | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月24日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。