恋花火 ページ9
手をひかれてしばらくした後。
千羅くんは神社の前で立ち止まって言った。
千｢実花は…実花は、志麻くんのこと好きなんよね｣
その不安と嫉妬と悲しさをひっくるめた声に私は震えた。やっぱり、千羅くんは実花が好きなんや。
貴｢実花は…志麻くんのこと好きやと思う。｣
千羅くんの失恋。いや、まだ決まってない。でも、嬉しかった。
最低やと思う。ほんまに、くそやと思う。
やけど、微かに自分が笑ってた。そんな自分に気づいて、私はすぐさま顔を下に向けた。
バレないように隠す私はズルいと思う。
千｢…ほんまに。ツラいわぁ｣
横目で千羅くんを見ると涙を流していた。
貴｢笑って。｣
千｢え、｣
貴｢笑ってや！！｣ｸﾞｯ
千羅くんの胸元を掴む。
私は意地を張ってる。そんな浅くて広い私、なんて人を馬鹿にするんやろ。
自分の想いと意見を尊重しすぎで、情けないと自ら思う。
千｢…笑えるわけないやん｣
貴｢私は……笑ってる千羅くんが好きやで｣
自分の言葉に、千羅くんからの返事に怯えて手を離す。
千｢…そうか、笑顔か｣
千羅くんを見ると涙はもうなかった。少し目元が赤くなってたけど、大丈夫やと思う。
千羅くんはきっと告白なんて思ってもないやろう。このままの関係でいられることにﾎｯとして、止んできた夕立を眺める。
…隠してや、永遠に。
私と千羅くんを、隠してや。
二人から遠ざかってもええから、隠してや…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハゲつるマン@19830617(プロフ) - 堕天使さん» ありがとうございます！！ これからも頑張りますね！！！ (2018年8月17日 18時) (
レス) id: ca77629a28 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使 - 続編おめでとうございます！これからも応援してまーす！ (2018年8月17日 16時) (レス) id: 63256c4e02 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハゲつるマン@19830617
| 作者ホームページ：なし
作成日時：2018年8月17日 15時
