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【4】 ページ5
まるで………
散策でも、しているかのように…
二宮の足は、軽やかだった。
少し、息を乱しながら…
緩やかな坂を、登ってゆく。
そして………
景色が開けた。
その顔に…
微かな笑みを湛えながら…
二宮は、ゆっくりと歩みを進め…
やがて、立ち止まり…屈み込んだ。
《YUKI TOBISHIMA −1982.9.20 〜 2010.9.20−》
と刻まれた、墓石の前で………
和:「結希…ただいま。」
愛しい人の、頬に触れるかのように…
優しく、ゆっくりと…墓石を撫でる。
和:「やっと…ツアーが、終わったよ。」
二宮の声だけが、墓地に響いている…
“応えのない会話”は…
しばらくの間、続いた。
和:「………行かなきゃ。」
二宮は…
ゆっくりと、立ち上がった。
和:「ごめんな…また、来るわ。」
最後にもう一度、墓石を撫でると…
二宮は…名残惜しげに、墓地を後にした。
＊
坂を下りて来た、二宮を…
松本は…
黙ったまま、見つめていた。
和:「お待たせ。」
何もなかったように、笑みを浮かべる二宮を見て…
松本の胸は、痛んだ。
潤:「………帰るか。」
和:「うん。」
二宮が、助手席に乗り込むのを見届けてから…
松本は、運転席へ乗り込んだ………
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2011年1月26日 0時
