ARAKB53物語第3章 (ページ11)

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30日目「秘密」ページ11

麻友「大好きです！」

彼女のその一言に、二宮は驚きを隠せずにいた。

二宮「えっ･･･と、そのう、これは･･･」

麻友「あっ！ご、ご、ゴメンナサイ！」

後になって事の重大さに気付いた麻友は、深々と頭を下げた。

その目には小さな涙が浮かんでいる。

気持ちが高ぶり広間から出ていこうとした。

だが二宮が麻友の手を掴み、引き止める。

二宮「待って、何で逃げるの？」

麻友「あ、スイマセン･･･」

二宮はハンカチを渡し、目に浮かんだ涙を拭くように促した。

麻友「ありがとうございます･･･」

二宮「落ち着いた？」

麻友「はい、少し･･･」

二宮「そっか･･･」

麻友の顔を真正面から見つめ

二宮は先程の返事をすることにした。

二宮「麻友ちゃんの気持ちは嬉しいよ、俺の事なんかを好きになってくれて。

　でもね、俺と君とじゃ、歳が10も離れてるんだし。

　それに第一、AKBは“恋愛禁止”でしょ？」

麻友「はい･･･」

二宮「別に麻友ちゃんの事、嫌いってことじゃないんだよ？

　ただ、君の事はなんていうか･･･“妹”？みたいな感じなんだ。俺にとってはね。

　だから本当に申し訳ないんだけど、麻友ちゃんの気持ちに応える事は出来ない。

　ゴメン」

麻友「いえ！謝らなくちゃいけないのは、私の方です。

　突然こんなこと言ってしまって、スミマセン･･･」

二宮「ううん、スゲー嬉しかった(笑)」

麻友「アハ、よかった」

結果は上手くはいかなかったが、心の中のモヤモヤが

一気に晴れていった気がした。

麻友「でも･･･」

二宮「ん？」

麻友「確かにAKBは“恋愛は禁止”ですけど“片想いはOK”なので！

私、諦めませんから！」

二宮「え～！？俺の話聞いてた？」

麻友「ハイ！」

彼女の屈託のない笑顔での返事に、二宮は一瞬たじろいだが

その気持ちとは反対に、彼の顔には笑みが浮かべられていた。

麻友「私がいつか、卒業する日まで待っててください！」

二宮「そこまで待てる自信がねえ(笑)」

麻友「待っててください！！」

二宮「分かった、分かったよ！もう･･･。しょうがないなあ(笑)」

麻友は無理やり約束をこじつけると、とびきりの笑顔のまま

DVDを見ている皆の元へと向かった。

二宮は小さく息を吐くと、大広間の電気を消してから

彼女の後を追った。

刻一刻とコンサートの時間が近付くに連れ

全員の心が一つになり出していた。

つづく･･･