【APH】推しを交換してみたい！【合作】 (ページ7)

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最低な救世主【英】ページ7

「何やってんだ？」

こんなとこで、と努めて優しい声音で話す。
雨に濡れたままの少女の姿に、俺の加虐心がくすぐられていることを悟られないように。

本当なら、この手に持っている傘を差し出すべきなのだろう。
それか、今自分の羽織っている上着を貸してやるべきなのだろう。

でも俺は、それをしない。

「っ………ぁ、えと、」

「ふぅん。お前って可哀想な奴だな、虐められてんだ？」

「…………」

「生徒会長として、俺はこれを止めてやることもできる。でも今はできねぇな」

「な、なんでですか…？」

「雨と涙と泥でグシャグシャなお前に、誰が手を差し伸べるかよ」

あぁ、その顔！
もっともっとその表情を堪能できたら、どんなに幸せだろうか。
あわよくば、俺だけが独り占めできたら！

彼女――Aが虐められていることはとっくの昔に知っていた。
というより、俺がそうするように仕向けたから知っているのも当然だけれど。

「ただし、条件をのむなら考えてやる」

「…じょう、けん…」

「俺の彼女になれ」

言ってしまいたくてしょうがなかったからか、予定していた台詞をいくつかすっ飛ばしてしまった。
早く、早く俺のものになってしまえ。
支配欲と独占欲が胸中を渦巻き、心地良い息苦しさが脳をクラクラさせる。

何をそんなに迷う必要があるんだ？
苦しいだろ、今すぐ助けてほしいに決まってる。だから早く俺のものになれと、そうすれば救われると、そう俺は言ってやっているというのに。
そんなんだから馬鹿なんだ、そんなんだから虐げられるんだ。

「でも、」

「なんだ、助けて欲しくないって？じゃあ勝手にしろよ、どうなっても知らないからな」

「……まって！待って、ください」

ほどかれたぐちゃぐちゃの髪から、雨粒が一つ落ちていく様を見ていた。
シャツにもスカートにも泥が跳ねているし、靴は片方履いていなかった…隠されたんだろうか。
白魚のような手が、弱々しく俺の袖を掴んでいる。

やっとその気になったのか。
遅くはあったけれど、まぁ少しは頭も使えるように――

「もう、嫌なんです。助けて、生徒会長さん」

ああ、そんなのお安いご用だ。

醜いお前を見ていると、本当に幸せな気持ちになる。
ずっとずっと仕舞ってきた欲を、そのままお前にぶつけてやろう。

次はどんな風に苦しませてやろうか？

何も知らない、ただただ俺に頼るしかできない、無力で弱い少女。
願い続けたその唇は、いとも容易く俺に奪われた。