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Aside
ライは消えた。ノックだったのに殺されなかった人は初めてだったような気がする。
ライがいなくなってから、私はまた単独の任務に就いた。
《才能》を活かす、残酷な仕事を、1人でこなした。
そんなある日だった。
ベルモットから直々に頼まれたのだ。
『ある研究所を捨てるから、爆破させてきて』と。
爆弾を置いてくるのかと思ったけど、それはもう用意されていて、ただ私はスイッチを押して、爆破したかを確かめるだけらしい。
『そ、それだけ?』
『ええ。不満かしら?』
『いや…、やけに簡単だから』
『いいじゃない。これでも大事な仕事なんだから。よろしくね』
『はーい』
頼まれたのは黒枝薬品という薬品会社のものとして使っていた研究所。
父さんたちが働いていたのもその研究所だったけど、別のところに移ったって連絡が来ていたから、私は躊躇いなく受け入れた。
任務の日。
初めて見る顔の男が、研究所の扉の前に立っていた。
警備員の格好をしている。
……この場所を消すのが、私の仕事。
ベルモットが言うには、警備員は関係ない人間だから、消していいらしい。
だから、私は近づいて、その人を刺した。
驚いた顔のまま動かなくなったその人を放っておいて、私はその場を後にした。
少し離れてから、スイッチを押した。
研究所が、綺麗に崩壊していった。
もし、あの警備員さんみたいに、あの中に人がいたら、きっと跡形もなくなってしまっているだろうな。
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時雨(プロフ) - まことさん» ご意見ありがとうございます。読み始めてもらえて嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月18日 7時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
まこと(プロフ) - 3でお願いします 新たに読み始めたので続きが気になります (2019年10月16日 17時) (レス) id: 9abb2adce4 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ☆三日月☆さん» ご意見ありがとうございます。何年でもなんて嬉しすぎます!参考にさせていただきます。 (2019年10月15日 19時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
☆三日月☆(プロフ) - 何年なっても待ち続けるので3でお願いします! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 0e61e2fc0f (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あーちゃんさん» ご意見ありがとうございます。面白いストーリーや、もったいないなど、すごく嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月8日 12時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年7月15日 13時