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「あなたは公安警察として、志保を捕らえることが出来ない」

「なぜ?」

「それは、私が今置かれている状況が答えよ」




そもそも降谷さんは、私を組織のサングリアだと知って、この部屋に連れてきている。

でも、私と同じように組織を抜け、幼児化したシェリーを逮捕できるとするのなら、私なんてとっくに捕えられているはずだ。




「つまり、何らかの理由から私を警察に送ることが出来ないと判断し、自分の家に匿った。もちろん、組織から抜けたという情報を手に入れた上で、だと思うけど」

「ああ。その通りだ」

「私は、幼児化してるってことが逮捕できない理由だと思ってるけど、合ってる?」

「そうだよ。子供は逮捕できないし、幼児化したなんて話、すぐに受け入れられる人間も少ないだろうからな」



私の答えに頷く降谷さんを見て、ほっと胸を撫で下ろす。

少しだけ自信がなかったから。




「…で?もし君がこの嘘に気づかなかったとしたら、俺はどうするつもりだったと思う?」


「その時はその時でしょ。……私がこんなふうに怒ったら、志保とどれくらい仲が良かったかわかるでしょうし?」


「…なっ」





降谷さんは驚いた顔をして、さっと私と距離をとる。


さっきとは逆。

今は私がにこにこと笑い、降谷さんが険しい顔をして私を睨む。




「それに、どうせ私の殺しの能力も見極めたかったんでしょう?」

「……ふっ、なるほどな。確かに俺は君を甘く見ていたらしい。謝ろう」

「いいえ、認めてくれただけで十分だよ」




私が何をしたか。

ただ、「こんなふうに」と話しながら、降谷さんの首に触れただけ。

手を銃の形にして、その人差し指をそっと首筋に当てた。




私が降谷さんに武器を全て取られていたからよかったものの、首なんて人に触れられたら、裏の世界じゃあすぐにあの世の住人となってしまう。



降谷さんは十分に私を警戒していた。


彼の能力が足りない訳ではない。



でも、暗殺屋としては今くらいのことは、楽に出来なきゃ話にならない。


これが、私の才能。

ベルモットやあの人たちに、天才と呼ばれた所以。

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時雨(プロフ) - ロゼさん» こちらこそリクエストありがとうございました!楽しかったです。 (2019年4月2日 13時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - リウエスト書いて頂きありがとうございました。とても面白く出来上がっていて凄かったです。 (2019年4月2日 8時) (レス) id: 8878c6576c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 匿名さん» 感想ありがとうございます。続きも書いてみましたので、楽しんでいただければとても嬉しいです!! (2019年3月29日 23時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 途中ではありますが読んでてすごくいい話で続きが楽しみです!リクエスト書いて頂き本当にありがとうございます! (2019年3月29日 0時) (レス) id: 24edc1aa4d (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - loveharuma0927さん» なるほど…。学校行事は思いつきませんでした!二人とも普段通りを装いながら内心はしゃいでそうですね…!面白そうなご提案ありがとうございます!もっとニヤニヤして頂けるように頑張ります! (2019年3月26日 21時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作成日時:2019年2月16日 8時

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