39話 ページ42
予想外の言葉に、間抜けな声が出てしまった。
それは、どういうことだろう…
彼は僕を見据えながら、先程の言葉を言い換えるように続けた。
「お前に会うのに何か理由が無いと駄目か」
「……いえ」
何も用事がなくとも、ただ会いに来てくれたという事でいいのだろうか。
そんな嬉しい自己解釈をしていいのだろうか。
「あの、兵長」
「なんだ」
「嬉しいです」
そう素直に思ったので言葉にしてみたが、言い終えてから少し恥ずかしくなり俯いてしまう。こんな直球に言わなくてもよかったな、と心のうちで思っているとふわりと頭に暖かい重みが掛かった。
何だろうと顔をあげれば彼の手が頭上へと伸びていた。
相変わらず目の下のくまは濃いが、その奥に潜む灰色掛かった蒼いその瞳はいつも暖かい。
嬉しかった彼の掌は、あっさりと離れてしまった。何だか物寂しくなる。
手を離した兵長の顔を伺うと、僕の後方へと視線をやっていた。なんだろう、と思い自分を其方に目を向けると、ちょうどハンジさんが立体機動装置を抱えて兵舎から出て来るところだった。
僕はすぐさまハンジさんに駆け寄り、立体機動装置を受け取る。上官に自分の物を持たせるなんて礼儀知らずだ。
「ハンジさん、持ちます」
「じゃあこれ持ってもらおうかな」
と、鞘とガスボンベを渡してくれた。
いや、全部自分が持つという意味で言ったんだけれど…
内地に居た頃には考えられない、下っ端は雑用なんて日常だし、上官には物のように扱われた。配属されてから兵士をやめた者達も少なくはない。
立場が上であるが故にふんぞり返った上官達とは比べ物にならないぐらいに調査兵団の人達は優しい、勿論今自分がいるこの区の人達も。
「あれ〜、リヴァイじゃん。どうしたんだい？」
「なにも」
素っ気なくハンジさんの質問にそう答えると、兵長は背を向けて行ってしまった。
その後ろ姿をぽかんとハンジさんと眺めた。
先程の彼の言動からして、もしかして自分とのこの関係を公にはしたくないのかもしれない。
この関係と言っても、よく分からないが……互いに好きという言葉を交わした訳では無いから恋人ではない。と言いつつも、何故か口付けは交わしている。
そうだ、彼は兵士長なんだ。
他の兵士の立前もある。
こういった行為を公にする訳にはいかない、ましては男同士だ。
彼の迷惑にはなりたくない、この関係が知れ渡る様な事はないようにしたい。
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やし野(プロフ) - Levi〜*Hina*〜さん» コメントありがとうございます〜(´∇｀)もしかしたら暫くこの関係性が続くかも知れませんね(^-^; コツコツ更新していきたいと思うのでのんびり付き合ってやってください<(_ _)> (2018年3月31日 11時) (
レス) id: 9388de82eb (このIDを非表示/違反報告)
Levi〜*Hina*〜 - 更新停止気味(?)だったので心配してましたが、復活してよかったです！夢主くんと兵長との関係がモヤモヤする…>д< 続き楽しみに待ってます！頑張ってください^^ (2018年3月31日 2時) (レス) id: a4d7dc62f2 (このIDを非表示/違反報告)
tamanyan3291(プロフ) - この作品、とても面白かったので続編、待ちます！いつかモチベーションが上がることを期待して…… (2018年1月3日 2時) (レス) id: 57c704e0b9 (このIDを非表示/違反報告)
kagaminerenwaka(プロフ) - リヴァイさんや他の方との絡み、オリジナルの仲間達とどうなるか、楽しみにしながらモチベが上がるのを心待ちにしております。身体に気を付けて…。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 232289749e (このIDを非表示/違反報告)
高杉哉兎(プロフ) - この作品面白いのに残念です、いつか戻ってきてくれることを待っています (2017年12月27日 11時) (レス) id: 99d8ddd66b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月26日 21時
