34話 ページ36
答えを詰まらせていると、隣に座っている隊長が僕の肩にがっしりと手を置いた。
「A、この件はお前が決めることだ。そして断っても何も恥じる事はない、命がかかっている」
むしろ断れと言うように、珍しく真剣な隊長の眼差しと声に、キュッと心臓が縮こまった気がした。
そうだ、死ぬ可能性がない訳では無い。
本当なら断るべきだ、断っても誰も何も言わない。むしろ断るのが当たり前だ。
誰も
何も言わない
誰も
言わない
それは
本当に？
きっと
僕が
僕自身に言うのではないか。
また背を向けるのか、また現実から生温い平穏へと逃げ込むのか。
二年前の新兵勧誘式のあの時から、自分を見損なってきた。唯一の仲間を自分から捨てた自分に、嫌気がさしていた。でもそれから逃げるようにこの地でだらだらと平和を貪った。
自分を好きになりたい自分と、自分から逃げ出したい自分が頭の中でめまぐるしく言い争ってる気がした。
エルヴィン団長の視線はいたって冷静なままだ。しかし、何かを釘指すようにその視線は痛かった。
きっとこの人は、人類の勝利のためならなんでもする人なのだろうと、そう身に染みて感じる。人類の勝利の為に、人の心を突いてくるのだろうと。
でもそうでもなければ、この兵団は成り立たないのではとも思えてしまう。
リチェとロイドを見るが、二人は視線を床に落としたままだった。そしてその表情は決していいものではなく、何か不安そうに、そして悲しげだ。
どうしよう、思わずリヴァイ兵長を見てしまう。彼はこちらを見ていた。
とても、とても厳しい表情だ。
その顔は「共に参加しろ」そうは言っていない。
むしろ「断れ」「壁外に出るな」「お前が来るところではない」そう突き放すような眼だった。
ああ、どうしよう
でもここで断ったら、きっと僕はもう僕を見損なって生きていくような気がする。
今もしかしたら、自分を認められる最後のチャンスなのかもしれない。
この時を待ってたのかもしれない。あの時逃げた罰が、これを受け入れる事によって少しだけでも、自分が自分に許されるのではないか。
そう思った途端、肩の力が抜けた気がした。
これっきり
これっきりだけど
僕が、
僕を許す口実になるなら
少しだけでも
自分を認めることが出来るなら
「参加、します」
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やし野(プロフ) - Levi〜*Hina*〜さん» コメントありがとうございます〜(´∇｀)もしかしたら暫くこの関係性が続くかも知れませんね(^-^; コツコツ更新していきたいと思うのでのんびり付き合ってやってください<(_ _)> (2018年3月31日 11時) (
レス) id: 9388de82eb (このIDを非表示/違反報告)
Levi〜*Hina*〜 - 更新停止気味(?)だったので心配してましたが、復活してよかったです！夢主くんと兵長との関係がモヤモヤする…>д< 続き楽しみに待ってます！頑張ってください^^ (2018年3月31日 2時) (レス) id: a4d7dc62f2 (このIDを非表示/違反報告)
tamanyan3291(プロフ) - この作品、とても面白かったので続編、待ちます！いつかモチベーションが上がることを期待して…… (2018年1月3日 2時) (レス) id: 57c704e0b9 (このIDを非表示/違反報告)
kagaminerenwaka(プロフ) - リヴァイさんや他の方との絡み、オリジナルの仲間達とどうなるか、楽しみにしながらモチベが上がるのを心待ちにしております。身体に気を付けて…。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 232289749e (このIDを非表示/違反報告)
高杉哉兎(プロフ) - この作品面白いのに残念です、いつか戻ってきてくれることを待っています (2017年12月27日 11時) (レス) id: 99d8ddd66b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月26日 21時
