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33話 ページ35

酷い方だなあ、そう思った。
自分は一度、リチェとロイドと、現実から背を向けて立ち去った事がある。そしてその場を彼ら調査兵団は見ていた。

二人をこの場に寄こす事で、僕がこの頼みを断りにくくしている。実際、断りにくい。
ここでこの頼みを断れば、ロイドとリチェ、そしてビートとダンにもう1度背を向ける事になるのではないか。

君はそれで、いいのか?

そう目でエルヴィン団長に訴えられている気がした。

「ひとつ、質問いいですか」

「なんだい」

「何故、駐屯兵団の二等兵である自分なんですか」

そう、何故僕なんだ。
巨人と対面したのなんて二年前が最後だ。新兵と何ら変わらないこんなド田舎にいる自分が、どうして。

「君に初めて会ったのはクィンタ区の日だったね」

「はい」

「私は実際に君が巨人と戦うところを見た訳ではない、しかし君一人で負傷兵を抱えて壁を登ってきたところで君に計り知れない実力を持っているのではないかと思ったんだ。訓練兵ああやって1人で帰ってくる事はそうそうない、それは調査兵団である私がよく知っている」

ああ、そういえばそうだっけ。
あまりあの日、巨人と戦った記憶がない。
気付けば傍らに重いものを抱えていて、そしてリヴァイ兵長に手を引っ張られていた、そんなあたりからしか記憶がない。

「君の戦い方を見ていた兵士がいた、その者が証言で、訓練兵たった一人が、何体もの巨人を倒していくのを見たと」

自分の知らない記憶を他人が語っていた、なんだか不思議な事だ。

「兵士曰く、巨人のありとあらゆる部位を削り取り、行動出来ない状態にしてからトドメを指していたと、討伐数は不確かもしれないが13体。この数は、ベテランの兵士がやっとたたき出す数だ」

僕はただ、団長がつらつらと言う言葉を聴いていた。本当にそれは自分なのか?煽てるためにでっちあげてるだけではないのか?誰かと見間違えてるだけじゃないのか?

「今回の目的は巨人の捕獲、殺さずに行動不能にさせるために、君の力を借りたい」

それが君に参加してもらいたい理由だと。

どうしよう。
それしか頭になかった、正直なところ、もう巨人となんか会いたくない。討伐数だとか、実力だとか、そんなの知らない。

でも、ここで断れば、僕の中の何かが僕を嫌いになりそうだった。

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やし野(プロフ) - Levi〜*Hina*〜さん» コメントありがとうございます〜(´∇`)もしかしたら暫くこの関係性が続くかも知れませんね(^-^; コツコツ更新していきたいと思うのでのんびり付き合ってやってください<(_ _)> (2018年3月31日 11時) (レス) id: 9388de82eb (このIDを非表示/違反報告)
Levi〜*Hina*〜 - 更新停止気味(?)だったので心配してましたが、復活してよかったです!夢主くんと兵長との関係がモヤモヤする…>д< 続き楽しみに待ってます!頑張ってください^^ (2018年3月31日 2時) (レス) id: a4d7dc62f2 (このIDを非表示/違反報告)
tamanyan3291(プロフ) - この作品、とても面白かったので続編、待ちます!いつかモチベーションが上がることを期待して…… (2018年1月3日 2時) (レス) id: 57c704e0b9 (このIDを非表示/違反報告)
kagaminerenwaka(プロフ) - リヴァイさんや他の方との絡み、オリジナルの仲間達とどうなるか、楽しみにしながらモチベが上がるのを心待ちにしております。身体に気を付けて…。 (2017年12月27日 12時) (レス) id: 232289749e (このIDを非表示/違反報告)
高杉哉兎(プロフ) - この作品面白いのに残念です、いつか戻ってきてくれることを待っています (2017年12月27日 11時) (レス) id: 99d8ddd66b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やし野 | 作成日時:2017年12月26日 21時

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