33話 ページ33
「見送りまで、すみません」
「明日立ち会えないからその分だ」
「ありがとうございます」
太陽が沈みかけて空が淡いオレンジで広がっている。
二人は都心から少し離れた道を歩いていた。夜は宿舎で駐屯兵団として旅立つ者達のために晩餐会がある。帰ろうとしたところ、リヴァイが馬小屋まで送ると言ったのだ。
「夕日が綺麗ですね」
「ああ」
馬小屋に付くと、Aは馬を連れてきます、と中に入って行った。
リヴァイはすでに薄暗くなりかけている空を見上げた、薄っぺらい月が空に張り付いている。
馬と共にAは戻ってきた。
「前の馬だな」
「はい、兵長が訪ねに来ていただいた時の馬です」
リヴァイはそっと馬に手を伸ばし、鼻の上あたりを撫でる。愛馬はぶるる、と鼻を鳴らしていた。
「そういやお前、今日はこっちに用があったのか」
リヴァイが馬の筋肉質な首を撫でなら問う。
「はい、憲兵団本部に用がありま……あ！」
とAは説明しながらある事を思い出す。
「兵長」
と、ポケットからいつの日か涙を拭うのに貸してくれたハンカチを取り出した。
「これありがとうございました、洗ってあります」
返そうとハンカチを差し出すが、何故か受け取ってもらえない。
「兵長？」
「…いらん」
「えっ！どこか汚れてますか？」
とAはハンカチを広げて裏表を確認する。
「そうじゃない、やる」
「え、でも、良さげな生地で出来てるのに」
「良いと思ってんならもらって欲しい、お前に」
リヴァイはAから視線を逸らす、目を見ずに会話をするのはよくあるが、口元が少し力んでいる。もしかして、照れているのだろうか。
「では、お言葉にあまえて、大切にしますね」
「ああ」
Aはハンカチを丁寧に折りたたみ、ポケットにしまう。
もう帰らなければいけない。
名残惜しいがいつまでもリヴァイを付き合わせる訳にもいかないと思い、鐙に足をかけると勢いよく馬に跨った。
「兵長、本当に今までありがとうございました」
「お前はよく礼を言うな」
「沢山言いたくなるぐらい感謝してるんです」
「そうか」
リヴァイの表情は柔らかく、そして哀しげだ。
「気を付けてお帰りくださいね」
「ああ…元気でな」
「…はい、リヴァイ兵士長もお元気で」
そう言うと手綱を引き、帰路へと馬を歩かせる。Aは何度も振り向きたくなるのを我慢した。
そしてリヴァイは馬に揺れるAの後ろ姿を、見えなくなるまで眺めていた。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません！全然大丈夫です！! (2019年2月19日 22時) (
レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜！とっても面白いです！何と言っても設定が凄く好みです！!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか？ (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして！ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…！！続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月17日 13時
