31話 ページ31
「お前は、憲兵じゃなく駐屯兵になるんだったか」
「…はい」
Aは調査兵団を選ばなかった事をなんが負い目に感じた。調査兵団団長からの勧誘もあったうえに、新兵勧誘式にてロイドとのやりとりもあの場にはリヴァイは知っている。
「明日の夜には、派遣先のローゼに行きます」
「明日の夜…」
「？ はい、明日の夜に」
「……」
急に黙ってしまったリヴァイにAは「兵長？」と問いかける。
「そうか」
「？」
「もう最後だな」
「………」
何がとは言わなかったが、Aは会えるのが最後なのだとすぐに分かった。リヴァイは明日明後日と、エルヴィンと共にクィンタ区の方へ出張に行かなければならないと告げた。
「……そうなんですか、今日が…」
「見送りが出来ないのは、残念だ」
「いえ、これだけ良くしてもらえたんです、充分ですよ」
「…」
「兵長には、助けられてばっかりですね。クィンタ区での時も自分の怪我に気付いて前線から引かせてくれました、昨日は大切なものに気付かせてくれて、今日も兵長に…」
「…そんな大した事はしてねえよ」
「いえ、自分にとってはこの上ない救いです」
Aは姿勢を直すと、リヴァイの目をちゃんと見据える。リヴァイも視線だけだが、Aの目を見つめた。
「兵長、本当に ありがとうございました」
礼を言うAの顔は、今までリヴァイに見せた緊張や、敬意、悲しみ、苦しみと言ったものではなく、心が満ちた笑みであった。
リヴァイはそっとAの頬に手を滑らせる。親指の腹で、下瞼あたりを撫でた。
「初めてお前の目を見た時、クソみてえにぎらぎらしてて、殺意の塊だった」
「う…」
「別にあの時の目が悪いとは思ってねえよ」
リヴァイは確かめるように、Aの目をのぞき込む。
「今の目の方が、好ましいな」
その声はどこまでも優しくて、Aは心が とぷん、と何かで満ちたように感じた。
「兵長」
「ん」
「なんだか口説いてるみたいですよ」
「どうだろうな」
珍しく冗談めいた事を言うリヴァイに、Aはくす、と笑った。
「兵長」
「ん」
「自分も 兵長の目が好きです」
Aの言葉に、リヴァイはぴたりと手を止めた。
頬を撫でていた手を顎の方に滑らせ、少し上を向かせる。
リヴァイは背もたれからゆっくりと体を起こした。
Aは 何だろう、とリヴァイをじっと見ている。
そして、
「へいちょ」
言い切る前に、二人の唇が重なった。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません！全然大丈夫です！! (2019年2月19日 22時) (
レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜！とっても面白いです！何と言っても設定が凄く好みです！!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか？ (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして！ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…！！続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月17日 13時
