19話 ページ19
「訓練兵整列！壇上正面に倣え！」
上官の指示により、訓練兵がぞろぞろと並んでいく。
クィンタ区の日から生き残った訓練兵達。
訓練兵団解散式から、随分と人数が減っていた。
壇上に現れたのは、調査兵団団長エルヴィン・スミス。
そして、その後ろにはリヴァイ兵士長、ハンジ・ゾエなどの分隊長達が並んでいる。
調査兵団勧誘演説に彼らも参列するのは至って珍しい。
エルヴィンは自己紹介から、兵団の方針、これまでの功績。そしてこれから何をするのか、内容を事細かく説明していく。
恐らくこの訓練兵の中から調査兵団として残るものは少ないだろう。巨人と実際に出会い、仲間の死、そして自分も死にかけた経験は彼等にとってここを立ち去るには充分な理由だ。
Aはぼんやりとした気持ちでその演説を聞いていた。
ちらちらとエルヴィンと目が合ったが、全ては気の所為だろうとAは視線をそらす。
「以上だ。もう一度自分に聞いてみたまえ、本当に人類の為に心臓を捧げる覚悟があるのか」
真剣な表情と声色。エルヴィンの演説を聞いた兵士達はごくりと唾を飲み込む。
「他の兵団の志願者は、解散したまえ」
その言葉と同時に、何人もの訓練兵がその場を去っていく。動かずに立ち尽くしてるものはほんの数名。
Aは、頭の中では既に答えは決まっていた。
ビートとダンの死を知ったあの日から。
ロイドとリチェが調査兵団に入ると言ったあの時から。
リチェ、ロイド。
ごめんな。
Aはそう心の中で告げると、体を反転させた。
「A！」
「！」
ぐいっと、腕を掴まれた。
振り向くと、ロイドがAを腕を掴んで、睨み付けていた。
「お前、本当にそれで…いいのか」
昨日とは打って変わって、怒りのこもった唸るような声だった。
「うん」
Aはそれに臆することなく、無表情で肯定する。
「お前はビートとダンが食われて、巨人が憎くないのか！仇を取ろうとも思わねえのか！」
「思わないね」
「！！」
ロイドがAの胸ぐらを掴む。
二人のやりとりを、調査兵団に志願する兵士と、調査兵団の者達が静かに見ていた。
「お前は！仲間を食われて悲しくないのかよ！！」
ぐっと引き上げられる、身長差がある上につかみ挙げられて体が少しだけ浮いた。
「ロイド」
Aは静かに相手の名前を呼び、ロイドの手に自分の手を上から添えた。
「勘弁してくれ」
「……！」
ロイドは掴んでいた服をそっと離した。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません！全然大丈夫です！! (2019年2月19日 22時) (
レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜！とっても面白いです！何と言っても設定が凄く好みです！!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか？ (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして！ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…！！続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月17日 13時
