18話 ページ18
クィンタ区の日から、六日後。
明日は兵科勧誘の日になっている。
Aはあれからいつものように兵舎に戻った。割り当てられた部屋のメンバーは、半分しか帰ってこなかった。
ビートとダンの死。
三人のあいだにはギスギスとした嫌な雰囲気が漂うようになってしまった。
誰が悪いわけでもない。
しかし、３人は目を合わせることが出来なかった。
夕食を終えたAは、兵舎から出て空を見上げた。曇一つない、星が張り付いた空。月の光がやけに明るく感じた。
「A」
振り向くと、ロイドがいた。
面と向かって話すのは、久しぶりであった。
「なに」
「俺さ」
「うん」
「俺…」
「……うん」
「調査兵団に入る」
Aは目を見開いてロイドを見る。
ロイドは、まっすぐとAを見据えていた。
「…そう」
「…リチェも調査兵団に入るって」
「………」
「Aは、どうする」
「………僕は」
僕は、どうしよう。
Aは言葉に詰まってしまった。
二人はきっと、ビートとダンの仇を取りたいのだろう。
「俺聞いたんだ、駐屯兵の人に」
「……」
「お前が、何十体もの巨人を殺したって」
「………」
「すごい逸材だって」
Aは口をつぐんでしまう。
返事のないAにロイドはぐっと息を飲む。
「なんか、言ってくれよ！お前強いんだろ！？俺ら3人で、２人の」
「取れるの？」
「…！」
「二人の敵、ちっぽけな人間のぼく達に、仇取れるの…？」
「……わ、分からねえけど……このままで、いられねえじゃん…」
「………」
二人の間には長い沈黙が続いた。
何も言えないのだ。
「そのことは、少し考えさせて…」
沈黙をAが切る。
「…………あぁ、いきなり声上げて、悪かった」
そうロイドが返事をすると、兵舎の中に戻って行ってしまった。
今のAにはぽっかりと穴か空いていた。
その穴は、お母様といた日々は溢れるように埋まっていた。
その穴は、5人で過ごした日々でぴったりと埋まっていた。
けれど今は。
かっぽになってしまった。
そして、2度味わってしまった失った虚無感。
もう、ほしくない。
大好きなお母様も。
馬鹿みたいに楽しかった4人との思い出も。
心を満たすものなんか、
なにも
ほしくない。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません！全然大丈夫です！! (2019年2月19日 22時) (
レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜！とっても面白いです！何と言っても設定が凄く好みです！!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか？ (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして！ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…！！続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月17日 13時
