17話 ページ17
やっとマリアまで辿り着く。リフトで負傷者と残存する兵士は地上に降りた。
既にそこには反対側に配置されていた兵達が戻っていたようだ。
Aは慌ただしく人が入り乱れる中、同期を探した。もちろんビート達の事だ。
訓練兵の勲章を目印に目を凝らす。
ペトラに「誰か探してるの？」と問われ、「同期を」と応える。その時、ペトラの表情が一瞬だけ曇った気がした。
「あ！」
Aはロイドの背中を見つけた。
思わず駆け出す。
しかし、Aの足は数歩走っただけで、また止まってしまう。
「…………」
いない、ビートと、ダンが。
いない。
リチェがAに気づき、突っ立っていたロイドに声をかける。
遠目からでも分かるのは、リチェの目が真っ赤に腫れ、そしてまだその頬には雫が伝っていること。
Aはゆっくりと歩き出す。
ロイドもAの方へ振り返った。
その目には、まるで生気がなかった。
リチェとロイドの元まで歩み寄る。
そして、かすれた声で、ロイドは
ダンと
ビートが
しんだ
数秒放心したように立っていたAがガッとロイドの胸ぐらを掴んだ。
「うそだ」
Aは震えた声で言う。
「うそ、ついてんじゃねえ…」
「ビートとダンが、しんだ…？」
「適当な事言ってんじゃねえよ！！」
大きな声に、周りの者達の視線が集まる。しかし、何かを察したように皆視線をそらす。
胸ぐらを掴まれたロイドは何も言わない、いや、言えないのだろう。
リチェも下を向いて涙をぽたぽたと落としていた。
「だって、あいつが…ビートが……」
「5人で……孤児院に………行こうって……」
「ここに帰って……来ようって……」
「あいつが………言ったのに…」
Aの声が段々と小さくなる。
リチェは震える手で服を掴むAの手を包んだ。
するりとAは手を離す。ロイドはそのまま膝から崩れ落ちた。
Aは空を仰ぎ見た。
こんな辛い現実が今まさに起こっているのに、そんな事知らないと言わんばかりに空は晴れている。
「まただ……」
Aはぽつりと言った。
「また、いなくなった……」
「なんで、僕は……あのままでよかったのに…」
お母様との日々も。
「今のままでも良かったのに………」
4人の仲間がそばに居た、生ぬるい訓練兵の生活も。
「なんで…」
あっという間に終わってしまうんだろう。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません！全然大丈夫です！! (2019年2月19日 22時) (
レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜！とっても面白いです！何と言っても設定が凄く好みです！!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか？ (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして！ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…！！続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2017年12月17日 13時
