14話 ページ14
「おい、ガスは?」
先程勢いよく排出させていた為どれほど減ったのか訊ねた。Aは自分のタンクメーターを見る。
「半分ほどです」
「そうか」
足を掴まれいた兵士は折れてしまったのか立てずにいる。Aはワイヤを建物に刺して兵士のいる建物に乗る。刃ごと操作装置をボンベ本体に差し込む。
「いっ…」
右腕の関節がずきりと痛んだ。
しかし今は痛みなんか気にしてる場合ではないと気をそらす。
「訓練兵、お前はペトラと共にそこの負傷者を連れて壁に戻れ。お前はもう前線から引け」
突然そう言われ動揺した、負傷兵を連れて戻るのはいいが、もう前線にくるな、とは。
「え、しかし、今は一人でも多くの兵が必要では…………、…!」
その言葉にリヴァイはAを睨んだ。逆らうな。そう目で言われた気がする。
「従え」
「………はい」
厳しい視線にAは頷いた。
すぐに班員と合流し、Aはペトラと共に兵士を抱えて壁に向かった。
壁上でAは兵士を医療班に預ける。
「じゃあ、ミィシェーレくん、ここはもう私たちに任せて、君はここで休んでて」
「はい…お役にたてなくて、すみません」
「何言ってるの、さっき君は命を救ったんだよ」
「……はい、お気を付けて」
ペトラは微笑みかけてから再び壁を降りていった。
Aはふっと息を吐いた。
まだ目の前では巨人と人類が戦っている。
目の前でたくさんの仲間が食べられた。
さっきまで隣にいた兵士も食べられた。
これが、外の世界なんだと、Aは知った。
「今まで…平和なところにいたんだな…」
「地下街の方が……安全だよ…」
「こ、わかった…なあ」
自分が本当に生きてるのか確かめるように、わざわざ声に出して言ってみた。
突然ぐにゃりと、視界が歪んだ。
「?」
平衡感覚が掴めない、体の力が抜けた。
ばた、とAはその場には倒れる。
おい、きみ!どうした!?
先程の医療班の一人が駆け寄ってくる。近くにいるはずなのに遠くから聞こえた。
肩を揺さぶられる。
Aは応えるまもなく、意識を手放した。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません!全然大丈夫です!! (2019年2月19日 22時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜!とっても面白いです!何と言っても設定が凄く好みです!!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか? (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして!ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…!!続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やし野 | 作成日時:2017年12月17日 13時