操り ページ11
「…何コレ？」
「寺坂君が」
Aは短く答え、目線を其方へ向ける。
そこに居たのは、座り込んだまま顔を引き攣らせている寺坂だった。
「…俺は…何もしてねぇ……話が違げーよ…イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに…」
「……！」
「成る程…自分で立てた計画ではなく、まんまとあの２人に操られていた訳ですか。どうりでおかしい訳ですよ」
ふと横を見ると、Aが冷たい目で寺坂を見下ろしている。
思わず息を呑んだ。
その紅い目に湛えた冷酷な目は、今までに見た事が無いものだったからだ。
だがその時、寺坂が焦ったようにカルマの襟首を掴んだ。
「言っとくが俺のせいじゃねーぞ、カルマァ！！ こんな計画やらす方が悪りーんだ！！ 皆が流されてったのも全部奴等が…」
瞬間。
カルマは反射的に、寺坂を殴っていた。
鈍い音と共に、寺坂が地面に膝を付く。
だがそんな事、気にしている場合では無かった。
「ターゲットがマッハ20で良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯にされてるよ。流されたのは皆じゃなくて自分じゃん」
それだけ言って振向くと、Aは居ない。
遠くに、黒いパーカーが走っていったのが分かった。
「…人のせいにするヒマあったら…自分の頭で何したいか考えたら？」
一方、Aは二人を置いて駆け出していた。
数十メートル先に、殺せんせーが居る。
そしてその背後に―――触手の影があった。
「先生、後ろ！！」
「！？」
伸びてきた触手が、殺せんせーの急所を狙う。
Aは反射的に、懐から取り出したナイフを投げた。
いくら焦っていても、ナイフの狙いを外す事は決して無い。
その切っ先が空を切り、殺せんせーを狙っていた触手を寸での所で切り落とす。
だがその凄まじい速度に、殺せんせーは水に叩き落された。
「はい、計算通り。久し振りだね殺せんせー」
聞き覚えのある声に振向く。
少し離れた岩場に立っていたのは、イトナとシロだった。
「ちなみに、君が吸ったのはただの水じゃない。触手の動きを弱める成分が入っている、あの坊やにプール上流から薬剤を混入させておいた」
その言葉に、Aは眉をひそめる。
若しかしたら、教室にばら撒かれた殺虫剤にも同じ働きのものが入っていたのかもしれない。
それが原因で、鼻の調子がおかしくなったのだろう。
そんな中、イトナは感情の灯らない声で、言った。
「さぁ兄さん。どっちが強いか改めて決めよう」
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レズア - 面白くて一気読みしました！更新待ってます！頑張ってください！ (2020年3月26日 21時) (
レス) id: 992ebf245b (このIDを非表示/違反報告)
みなと - 初めまして、狐火さん。話の切り替え方なども読みやすく分かりやすいので、一気読みしてしまいました。キャラクターのブレはあまり無いように私は思いますし、心情の描写もとても綺麗ですね。尊敬します。無理せず、気が向いたらまた更新してくださると嬉しいです。 (2019年11月28日 16時) (レス) id: aa9b91acbd (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - あと業の口調「___だよ〜〜〜」のような口調です。少し女性のような口調です。けれど、「〜なのよ」の口調では、ないので気を付けて下さい (2019年1月20日 23時) (レス) id: d6d929f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 私あんまり、鬼灯の冷徹分からないので「」の上にキャラの名前の一部を付けてくださいますか？（例）赤羽「」みたいに。あくまで私自身の個人意見です。 (2019年1月20日 23時) (レス) id: d6d929f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり少女(プロフ) - 初めまして！めっちゃ面白いです！続きめっちゃ気になります！更新頑張ってください！ (2018年11月18日 22時) (レス) id: b0408dc810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狐火 | 作成日時：2017年4月11日 17時
