RED【LDH】 (ページ16)

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A｢もしもし､奨？｣

『A…どうしよう､俺…』

電話の向こうから聞こえる奨の声に唯ならぬ予感がして私は息を飲んで､続く言葉を待った。

『俺…オーディション受かった。』

A｢え！？｣

『101人に残れた…来週から韓国合宿行ってくる…』

私は想定外の吉報に声が裏返ってしまった。

自分の夢に着々と近づいているのに､こんなに声が弾まないのは私のせいなのかな。

A｢すごいよ奨！こっから先の事は放送されるんだもんね？絶対見るから！｣

『ありがとう…それでさ､最初にクラス分けテストがあるみたいなんだけど､その事で少し相談に乗ってもらいたくて…』

PRODUCE101というオーディション番組について私はあまり詳しくはないけれど､最初にクラス分けテストというのを行ってA～Eクラスに分けられるのだという。

そのためのテストが自由課題だというから､その相談だった。

A｢ダンスはまだ奨には早い笑｣

『だよな～俺もそう思うよ笑』

A｢だから歌で勝負しな！
奨の歌ならたくさんの人を魅了させられるよ！｣

私の言葉に嘘はなかった。

奨の歌はホントに聞く人を魅了する。

力強くて温かい彼の歌ならきっとみんなの心に響くはずだ。

昔よく健太も奨も私に歌を聞かせてくれた。

『分かったまた連絡するね』

久しぶりなのに思いのほか早く切れた奨からの電話､もしかしたら私が健太といるのも察したのかもしれない。

そういうところ､私が奨を放っておけない。

A｢私には奨はもったいないよ…｣

健太｢健太くらいがちょうどいいんじゃない？｣

真剣な私の悩みに軽く応えてきた健太に少しイラッとしたけど､あながち間違いではない。

奨はすごく真っ直ぐで周りにも気が配れる本当に紳士だ。

比べて健太は落ち着きがなくて気分屋な自由人。

私みたいなのが奨を振り回してしまうのはあまりにも申し訳ない。

A｢冗談に聞こえないから止めて｣

健太｢…そんな冗談言わないし｣

私が怒ると健太は拗ねて私に背を向けて寝た。

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