RED【LDH】 (ページ14)

今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:36,616 hit

14 ページ14

・

奨｢言い訳しないんだね｣

A｢言い訳なんてないよ｣

もしかしたらこれで奨との関係も終わってしまうかもしれないけど､それならそれでいいかなとも思う。

彼の夢の足枷になってしまう気がしていたから。

奨｢俺はそれでもいいよ…身体は健太のものになってもいいけど､心だけは俺のものでいて｣

その言葉には流石の私も驚いた。

奨はやっぱり私や健太のことを誰よりも理解していた。

だけど､気丈に振る舞う奨も不安に襲われているのは分かる。

A｢それじゃあ奨が…｣

奨｢俺はAを失う方が嫌だ｣

彼からハッキリ告げられた言葉に胸を打たれた。

今まで生きてきて､こんなにも私を手放そうとしない人はいなかった。

私は都合のいい女なんだって､ずっとそう思ってたけど奨がそれを否定してくれたようだった。

A｢分かった…大好きだよ､奨｣

奨｢俺もだよまた時間ある時に電話するね｣

最後に触れるだけのキスをして奨は帰っていった。

真っ暗な夜の道を一人で歩く。

行きは健太と一緒で公園では奨と一緒だったから､いつにも増して一人が寂しく感じた。

健太とは違う､私を大切に想う奨の気持ちがさっきのキスから嫌という程伝わってきた。

そんな奨を想ったら自然と涙が溢れてきた。

彼に辛い思いをさせているのは私なのに､私が泣くなんて卑怯だなって笑いたくなる。

健太｢ねぇーAお腹空いたー｣

家に帰るとさっきまでよりテンションの高くなった健太の声が響く。

その間の抜けた声に私の涙は引っ込んだ。

A｢はいはい､私別に健太を養うつもりないけど笑｣

私は文句を吐きながらも冷蔵庫に作り置きしてある餃子をフライパンに並べる。

それを焼いて出せば､健太は大喜びで食卓に座る。

・