BLUE 【LDH】 (ページ46)

今日:10 hit、昨日:19 hit、合計:60,442 hit

46 ページ46

-樹 side-

Aに言われたことにイラついたから頭を冷やしてこようって思って､
近くの自販機まで水を買いに行っただけだった。

バタバタって人の走る音がエントランスの方から聞こえたから何かあったのかなって早足で戻れば､

苦しそうに蹲るAにホテルコンシェルジュの人たちが駆け寄っていて､俺はその間に割って入った。

樹｢すいません､この子の連れです｣

そう言ってコンシェルジュの人たちを払い除けてAを抱きしめた。

一生懸命に酸素を求めながらAは俺の服をギュッと握った。

A｢…っひとりに…しないで…｣

大粒の涙を流しながらAが必死に紡いだ言葉が､俺の心臓を突き刺した。

やっぱり俺がいてあげなきゃ､守ってあげなきゃって覚悟を決めた瞬間だった。

樹｢ごめん､ひとりになんてしないよ大丈夫｣

そう言って背中を摩ってやれば徐々に呼吸も落ち着いて､コンシェルジュさんたちもホッとしてフロントに戻った。

A｢私また迷惑かけた…｣

樹｢あれが本音でしょ？

これから先､ずっと俺はAのものでいいから…だからAが俺のものになって｣

ひとりが怖いなら俺がずっと一緒にいるから､俺にだけは甘えて欲しい。

悲しいことも楽しいことも全部全部一緒に背負っていきたい。

今度はしっかり俺の言葉が､気持ちが､Aに届いたみたいだ。

A｢私こんなんだけどええの？｣

樹｢そんなAがいい｣

A｢私実はすごいワガママやで？｣

樹｢全然足りないもっとワガママになって｣

A｢マースにヤキモチ妬いちゃうよ？｣

樹｢それは大目に見てください笑｣

なんて笑い合いながら､最後にAが｢これからよろしくお願いします｣って改まって頭を下げた。

俺も頭を下げて､お互い同時に顔を上げたからすぐに目が合う。

・