BLUE 【LDH】 (ページ27)

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-Aside-

自分がおかしいのは分かっている。

ここは樹くんの家で､帰ってくるのは弘樹さんじゃなくて樹くんだって分かってる。

だけど､しっかりしなきゃって…いつもみたいにちゃんとやらなきゃって思ってしまう。

弘樹さんは私の中からいなくなってくれない。

｢気が利かない女｣

彼から何度も言われたその言葉が何度も脳内で繰り返される。

こんな私じゃ樹くんの傍にいられないって出ていこうかと考えたりもした。

―ミャア

私の近くに来てくれるマースがここが樹くんの家であることを実感させる。

A｢樹くんまだかなぁ｣

マースのふわふわな毛並みを優しく撫でる。

夕飯の準備は出来ているからマースと遊びながら少し待っているとガチャと鍵を開ける音がした。

A｢おかえりなさい｣

樹｢ただいま｣

いつものようにカバンとジャケットを受け取ってリビングに戻る。

樹｢ありがとう｣

A｢ご飯の準備できてます｣

樹｢ありがとう一緒に食べよう｣

今までの弘樹くんとの暮らしとは違うって分かってるけど､私にはこうするのが正しいって思った。

ただ一つ一つ｢ありがとう｣って返してくれる樹くんにドキッとした。

樹｢美味しいね｣

私の方を見て言ってくれる。

彼とは違う､樹くんの優しさが胸に刺さる。

それから私が何をしても樹くんは｢ありがとう｣って必ず言ってくれた。

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