BLUE 【LDH】 (ページ24)

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-樹 side-

樹｢すげこれ作ったの？｣

A｢うん､クロックムッシュお口に合うといいけど…｣

樹｢めちゃくちゃ美味しい｣

食卓にはカフェじゃないかってくらいオシャレな朝食が用意されていてびっくりした。

Aさんの元彼はこれを毎日食べてたのかとか､こんな完璧な彼女になんでDVなんかとか考えてしまった。

樹｢もしかして気使わせた？｣

A｢ん？なにが？｣

樹｢泊まらせてもらってるんだから家事くらいやんなきゃとか思ってない？｣

A｢思っとるけど？笑｣

食べながらふと思ったことを聞いてみれば､案の定図星だったみたいだ。

俺はここにいる間はAさんを甘やかしてあげたいから､あんまり気を使ったりして欲しくはなかった。

樹｢…片付けは俺がやるから仕事行く準備しな｣

A｢ごめんなさい｣

俺は思っていることを言葉にするのが苦手だから､少し冷たく聞こえたのかAさんに謝られる。

樹｢なんで謝るの？｣

A｢私､気が利かない…ダメな女だから…｣

そう言うAさんの手は震えていて､まずいって思った。

どうしたらいいかって考えた時にふと前にAさんが言っていたことを思い出した。

彼氏のどこが好きなのかって聞いたら｢ギュッてしてくれて､いい子だねって言ってくれる｣と答えていた。

俺は食べるのをやめてAさんの方に近づいて優しく､怖がらせないように抱きしめた。

樹｢そんなことない､Aさんはダメな女なんかじゃない｣

なんとなく｢いい子だね｣って元彼と同じ言葉を使うのはダメな気がして､言い方を変えた。

そのまま優しく頭を撫でてあげるとAさんの震えが止まった。

A｢ごめんね､迷惑かけて…｣

精一杯の強がりで笑顔の仮面を貼り付けた彼女が言う。

そこで俺は気づいたんだ。

彼女の言葉は｢ごめん｣ばっかりだった。

｢ありがとう｣じゃなくて｢ごめん｣を使うのはきっと元彼の影響だろう。

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