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考える前に身体は動いていて、俺はAを抱えて医務室へと急いだ。
走るとAに負担がかかりそうだから、可能な限り早く歩いた。
医務室のベッドに寝かせるとAはいつの間にか眠ってしまった。
そんなAの手をそっと握る。
Aは眠る時にいつも手を握って欲しがるって前に陸さんたちが話してるのを聞いたから少しでも安心出来たらって。
Aに触れるのなんて、SIOのMV撮影の日以来だった。
相変わらず小さい彼女の手に愛おしさが込み上げてきた。
LIKIYAAのことは壱馬に任せる
スマホが鳴って見てみれば、力矢さんからだった。
パフォーマーでまだ合わせなきゃいけないところがあるからってAのことは俺に一任された。
こうしていることしかできない自分がもどかしくて仕方なかった。
壱馬「なぁ、Aは俺のことが嫌いなん?」
眠っているAの頭を撫でながら聞いてみるけど、当たり前だが返事はない。
医務室の静けさが俺を虚しくさせる。
A「…嫌いなわけないじゃん」
暫くしてから聞こえた声に慌てて顔を上げる。
Aが目を開けて真っ直ぐに俺を見ていた。
壱馬「起こした?ごめんな?」
A「ううん、私こそごめん リハ戻っていいよ?」
壱馬「なぁ嫌いじゃないなら何で避けるん?」
俺はリハに戻っていいと言うAの言葉を無視してどうしても聞きたいことを聞いてみた。
あの日の俺の行動が原因なのは分かるけど、納得はいかなかった。
A「それは…まだ言えない…でも壱馬と話せないのは辛いから今までみたいにしたいって思う」
壱馬「そっか、無理には聞かんよ
元に戻れるんだったらそれが一番やし」
俺は嘘をついた。
元に戻るのが一番だなんて思ってない、俺の中で一番なのはAとその先に進むことだ。
振り出しに戻るなんて本当は嫌だった。
だけど、そんな我儘を言ったら多分またAに避けられる気がしたから言わない。
いつか、絶対話してくれると信じて…俺はそれを待つことにした。
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ANAPON(プロフ) - kana551127さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!ただ、なんとなくお察しかとは思うのですが、オチは壱馬くんに向かっています…。今このお話のサイドストーリーを慎くん中心で書いてるのでよかったらそちらができたら読んで欲しいです! (2020年5月6日 15時) (レス) id: 764df54ed6 (このIDを非表示/違反報告)
kana551127(プロフ) - ANAPONさん、はじめまして!WHITE読ませて頂いております。こーんなに愛されてる主人公ちゃんが羨ましくて、最初からずーっとニヤニヤが止まりません!!これからも更新楽しみにしております!ちなみにわたしは慎ちゃん落ちだとすごく嬉しいです! (2020年5月6日 5時) (レス) id: 7b8fc599f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ANAPON | 作成日時:2020年5月1日 21時