第2話 ページ10
Aside
気遣いが嬉しかった。
私も彼の気持ちに少しでも応えたい。
『あ、あのっ』
「はい」
彼が私の隣に座り直したのを見て、私は気持ちを伝える。
『貴方は…、とても眩しいんです。笑顔も、その優しさも、私を照らしてくれているようで。炎柱の名に相応しい暖かさを感じております』
「……」
大きく見開かれた目が、更に見開かれる。
目が落ちてしまうのかと思い、顔の下に手を添えて受け止める準備をする。
すると、その手を包むように掴まれる。
『?』
「…ははっ……、少しでも元気になってほしいと思ったのですが、俺が元気づけられてしまうとは…。Aさんはお優しいのですね」
先程まで眩しい太陽のような溌剌とした笑顔だったのに、今は優しいポカポカとして太陽のような微笑みになる。
『…っ』
「もしよろしければ、庭を散歩しませんか」
手を差し出される。
ここは産屋敷様がご用意してくださった場所。
煉獄さんは存じ上げてる場所なのに…。
『はい』
この人はどこまでも優しい人…。
『煉獄さん』
「はい」
この人なら
『またお会いしたい、です…』
「!!ああ、ぜひ!!」
それからと言うもの、任務がない日の昼間にはいつもお会いしていた。
鬼殺隊の方々は鬼が動く夜が稼働時間でもあるが、昼は昼で情報収集を行っているらしい。
『大変なお仕事なんですね』
「ああ、だから今日会えてよかった」
気付けば煉獄さんは、固くない、砕けた話し方になっていて、これが本来のこの人なのだと分かる。
話が積もり積もって遅くになってしまった。
『もうこんな時間…』
「送ろう!」
『いえ、そんな…。すぐそこですし』
「夜は危険だ、俺が家まで送る」
『ですが、お仕事で大変なのに…』
「…大切な人を守ってこその、鬼殺隊だ」
え
『あの』
「さあ、行くぞ」
『え、あの、煉獄さん!?』
私の手を取って歩き出す。
今、大切な人?
私の顔が熱くなるのが分かる。
こんな事をさらりと言ってのけてしまう煉獄さんは、きっと異性から好意を抱かれるのだろう。
そう思い煉獄さんを見る。
けれど、彼の耳も私と同じくらい赤かった。
『煉獄、さ』
「しっ」
歩みを止めた煉獄さんに、声をかけるが静止される。
「俺の傍から、離れないでくれ」
『っ…はい…』
その顔は至って真剣そのもので、事の深刻さを嫌でも感じ取る。
「…」
『っ…』
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作者名:あまんだ | 作成日時:2024年1月19日 3時