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第8話 ページ8

義勇side

「帰ったぞ」
『!…義勇さん、おかえりなさ……』

俺の姿を見て、Aは目を見開いた。

『義勇さん、その…腕は…』
「ああ、これか」

事の経緯を話すと、震えながらもAは俺の方へと歩み寄ってきて、俺を抱きしめた。

『おかえりなさい…、お疲れ様でした…』
「……っ、ああ……」

その抱擁と言葉で、戦いが終わった事を再認識させられた。
だが、それ以上の結末があった。
痣の呪いだ。

『余命?』
「ああ、俺はあと4年しか生きられない…」
『…そう、ですか…』
「だから、Aは別のやつと」
『何を言っているのですか。何度も言わせないでください。私は生涯、貴方のお傍にいたいのです。隻腕になろうとも。……この世の安寧をもたらす代償が…腕1本で済んで…良かったじゃないですか………。亡くなられた方もいたでしょうに……』

俺は死んで行った仲間の名前を告げる。

『……そうでしたか…、甘露寺さんも……』

甘露寺とは繋がりがあったみたいで、親しかったのを覚えている。

『皆さん、ありがとうございました……本当にお疲れ様でした…』

俺から離れ、裾を整え座り直すと綺麗に頭を下げる。

「A…」
『だからどうか、ゆっくり…休んでください…』

それから俺は余生をゆったり過ごした。
Aの腕には赤子がいる。

「A…」
『はい』
「Aと…その子を残していくのが……心残りだ……」
『何を…言いますか…、大丈夫ですよ。私は…貴方の妻ですよ……』

笑いながらも涙を流すAが見える。
嗚呼

「綺麗だな」
『!…………っ…はぃ…』

Aに差し出した手を、Aは救取り、頬擦りをする。
こうして俺は

『っ…』

意識を手放した。
本当に綺麗だ。
俺にはもったいないくらいの、素敵な人だ。
黄泉の国には姉さんがいた。
姉さんにAの話をしていたら、

「義勇、もしかしてあの子?」
「?……!……、あ、 ぁ……A…!」
『!!義勇さん…!』

愛しい人を抱きしめ、美しい濡れ羽色の髪が鼻にかかり懐かしい香りを感じる。

「ずっと…待っていた…」
『お待たせしました……ずっと……ずっと、お会いしたかったです…』
「俺もだ」

Aの頬に伝う涙を拭い、口付けをする。

「ようやく、平和に静かにすごせそうたな」
『はい』


完結

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作者名:あまんだ | 作成日時:2024年1月19日 3時

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