第5話 ページ20
宇髄side
俺はあの日、無理やり連れ帰り家族にした。
その事がずっと気になっていた。
『どうも何も、幸せですよ』
あの日、人形のような表情しかしなかったAが
『私を家族にしてくれて、ありがとうございます』
こんなにも人間らしく、綺麗に笑った。
『天元さ、んぅ』
それがあまりにも嬉しくて、思わず抱き寄せ口吸いをした。
『ん…は……』
「んな事言ってると、離せと言われても離さねぇからな。そりゃもう派手にな」
『……はい、派手に離さないでください』
「…そうかい…」
ああホント、お前いい女になったな。
最終決戦の時、俺は護衛をする事になった。
『私も行きます』
「え、A?」
「どうしたの、A」
「危ないのよ」
『だ、だって、皆さんばかり…私を安全な所へ置いていくの、ずるいです。私も体を張ります』
ふすんとするAに俺らは笑う。
『な、なんで笑うんですか…!?』
「いいや、いいな。ならA、お前には」
そう言って俺のあぐらに座らせる。
『あの、これは…』
「ん?お前には俺のそばにいてもらう」
『だとしてもこれは…』
「減るもんじゃねぇだろ」
『そうですけど、これで敵襲が来たら…』
「それは来ない事を願うしかねぇな」
『え〜……』
隣には煉獄の親父さんがいるし、
部屋には新しい御館様もいるが、お構い無しにいちゃつく。まあ、そこまで張り詰めんな、って俺なりの気遣いってわけだ。
気は抜かねぇがな。
戦いが終わった報告が鎹鴉から入る。
その瞬間、俺はAを強く抱き締めた。
『……お疲れ様でした、天元さん』
「っ……、ああ、ありがとう」
こうして俺らは余生を充分生きたとか。
完
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作者名:あまんだ | 作成日時:2024年1月19日 3時