《宇髄天元》第1話 ページ16
宇隨side
俺の目の前にいる女は、何も考えていなかった。
「おい」
『はい』
「名前は」
『Aです』
会話が続かなかった。
「なんで来たんだ?お前」
『親に言われたので』
親に言われた、そいつはまるで
「俺らと変わらねぇな」
『私は忍ではありません』
「忍であろうとなかろうと、お前はソックリだ」
『…』
今度は無視か。
「ここへ来たこと、見合いのこと、それにお前の意思はあるのか?」
『私の意思なんて必要ありません。お家のためです』
なるほど。
「決めた。お前、俺の嫁になれ」
『は?』
「もう3人いるんだ、もう1人増えても問題ねえ」
『は?3人??』
「つーわけだ、帰るぞ」
『え、なにいっ、え?』
俺はAを抱え、帰った。
「帰ったぞ」
『え?え??』
「天元様おかえりなさい」
「あー!もしかして、この子ですか!?前言ってたお見合い相手のAちゃんって子は!」
「あら、可愛いですね。何歳?」
『…18です…』
Aの言葉に俺ら全員が固まる。
おいおい、18かよ…。
「て、天元様…」
「Aは俺の嫁にする」
「わかりました」
『あの…』
「A、今日からここが貴女の家で、私たちは貴女の家族よ」
『ぃ…え……、がぞく…』
それだけ呟くと、大粒の涙を流し出した。
「え、A?!」
「泣かないで〜!!」
「どうした」
『う、れしく、て…っ』
人形の表情に人間味が出てきた。
『よろしくお願いします』
それからは、平和な日々だった。
あの任務があるまでは
『…潜入任務、ですか?』
「Aは訓練受けてないから留守番だ」
『……はい…』
あの時の俺はAに辛い思いをさせたのかもしれない。
数日の間、家に1人にさせた。
鎹鴉で現状報告をするが、Aはたまったもんじゃなかっただろうな。
ちゃんと帰るのか、生きてるのか、元気なのか、鎹鴉が帰ってくる度にそんな感じだと聞かされた。
「帰ったらめいっぱい愛してやらねぇとな」
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作者名:あまんだ | 作成日時:2024年1月19日 3時