第2話 ページ2
義勇side
「義勇、お見合い……なんてどうかな」
全ての始まりは御館様のこと一言からだった。
「お見合い、ですか」
「お話するだけでも……、どうかな」
俺なんかが妻を娶った所で不快にさせてしまうだけかもしれない、それは相手や機会を下さった御館様に対しても失礼だ。
しかし御館様からのお言葉、断らないわけにはいかない。
「かしこまりました。お受け致します」
「そうか、わかったよ。日程は明日のお昼頃、アマネが指定した所へ私服で来てくれ」
「御意」
御館様からの紹介だ、悪い方ではないだろう。
そう思っていたのだが
『…』
来た女性は濡れ羽色の美しい髪を結い、瑠璃色の瞳をもっていた。とても美しいと思ったのだが、随分と気分が落ち込んでいた。
「いや〜産屋敷様、今回もありがとうございます」
「とんでもない、寧ろいつもありがとうございますと言いたいのは我々の方です。義勇」
「冨岡義勇です」
「A、お前も挨拶なさい」
『…葉室、Aです』
葉室?随分な名家だ。甘露寺と同じくらいだろう。
鬼殺隊の隊士なんかと婚姻は嫌だろうな。
「この者は末娘ですので、お気になさらず」
嗚呼
「……そうしましたら、あとは二人で話させるのが良いのでは」
「それもそうですね、A、粗相のないようにな」
『…はい』
「義勇、彼女を頼むよ」
「御意」
御館様が部屋を出て行くのを見届け、
葉室さんと二人だけになる。
『……』
「……」
どう切り出せばいいんだ。
『……大変ですね、こんなのとお見合いだなんて』
あまりにも吐き捨てるような言葉だった。
表情は曇っており、何もかも諦めた顔をしていた。
俺はこの顔を知っている。
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作者名:あまんだ | 作成日時:2024年1月19日 3時