12歳～片思い～part2 (ページ6)

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54話ページ6

「え？何？何処に行くの……？」

そんな声が聞こえて来る中想楽は走っていく。それを追うようにカコも走って行った。

「(……っ！想楽…！)」

だけど、これは想楽とカコの問題だ。俺が首を突っ込むべき問題ではないし、今までだってそうだったじゃないか。でも……。

「A⁉何処にいくの⁉」

「……っ。俺は…」

自分勝手なこともわかっているし、でも止められない。でも……そう思っていると、不意に太陽が口を開く。

「大丈夫だよ。二人は一緒に帰って来るよ」

「そうだな。あいつらにとっては今じゃなきゃ駄目だから…」

そんな言葉を聞いて突然心が軽くなってゆく。何で急に心が軽くなったのだろう。それは分からない。だけど瑛太と太陽の言葉を聞いたとき、崩れ落ちた。とても屈辱だ。二人にこんな姿を見せるのは

「だ、大丈夫⁉A」

「ったく。どうしたんだよ？A」

「…ありがとう。二人共」

そう言った直後、天気が晴れた。まるで俺の心境を表しているみたいだった。何で心が軽くなったのか。それは俺すら分からないのだから、他人には理解しようがない。

「ねぇ、太陽君。席一番前だって。先生が言ってたわよ」

「あ、杏ちゃん。ありがとう。二人も帰って来たし俺はもう乗るねー」

そう言って太陽は笑顔で姫宮の元に駆け寄っていく。ああ、確かに帰って来た。とても晴々とした表情をした想楽とカコが一緒に手を繋ぎ、こっちへと歩いて来た。

「お前達何処にいってんだんだ！四人分の席確保してあるから早く乗りなさい」

先生がそう促してくるのと同時に想楽は瑛太にこう言った。

「瑛太は私の隣ね！じゃなきゃ瑛太の好きな人バラすよ！」

想楽の突然のカミングアウトに俺はポカーンとなった。それはカコも同じようで…

「(あ、あれ想楽じゃねーのか……？)」

そう思っている内に瑛太は想楽を引っ張り、怒り心頭という表情をしながらも想楽に何かを耳打ちしている。よく聞こえなかったけど…

「何だそれ。いい子じゃなくても想楽は想楽だろ」

だけど、ここだけははっきり聞こえた。そのあとの想楽のすっきりした表情と言動も。

ーバスー

「(にしても想楽と瑛太は両思いだと思ってたのになぁ)」

これは俺もワンチャン……？いやいや、何夢を見ているんだ。そんなこと…そう思っていると、カコが不意にこう言った。

「ありがとう。A君のおかげで私想楽ちゃんと仲直り出来たよ」

「え？お、俺のおかげ？いやいや、カコの頑張りのおかげだろ？俺は何にも…」

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