12歳～片思い～part2 (ページ5)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:7,421 hit

53話ページ5

杏side

今はケイドロをやっている。私は逃げる側になった。

「想楽ちゃんもドロボーなんだ。よろしくね」

「杏……そ、そうね」

そう言って引きつった笑みを見せる想楽ちゃん。…私は想楽ちゃんの耳元で囁いた。

「ねえ、想楽ちゃん。カコちゃんのこと恨んでるんでしょ？」

「べ、別に恨んでなんか……」

……それは嘘でしょ。だって恨んでなかったらこんなこと絶対にしないはずだ。

「それは嘘でしょ。ならどうしてこんなにあの子と距離を置いてるの？どうしてこんなに……」

「……っ。杏にはわからないよ！私の気持ちなんて」

そう言って想楽ちゃんは去っていく。ったく、ささっと素直になって復讐を誓えばいいだけの話なのに。

「(私一人でやるしかないようね)」

私はそう思いながら、相原カコの元まで駆け寄って行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Aside

「ねぇ、カコちゃん。先さトイレ行ってたじゃない。それで想楽ちゃんに怒られてたじゃない？ムカついたでしょ」

そんな声が聞こえ、思わず身を潜める。姫宮の声だ。あいつ……！俺は今すぐにでも出てきて行きたかったが万が一姫宮が泣いたら不利になるのはこっちだ。

「(……それに流石にあの想楽の言い方は…)」

ない、と思った。あんな大声で声を出したら男子はともかく、女子は行きづらくなるだろう。まぁ、そんなことで嫌いになったりしないが。

「相原さんも大変だったでしょ？想楽の相手」

姫宮の取り巻き達がそう言ってきた。カコは首を横に振り、こう言った。

「想楽ちゃんの隣は優しくて暖かくて大好き。わ、私いつも想楽ちゃんの後ろにいて何も出来なくて…でも想楽ちゃんのこと悪く言う人は許さないから！」

そう言うと、姫宮の取り巻きは文句を言いながら去っていく。しかし、姫宮は…

「ふーん、そっか。偽善者だね。カコちゃんは」

そう言って捨て台詞を吐き、去っていく。偽善者……？

「(何を言っているんだろう。友達を庇うのは当たり前じゃねーか。俺だって瑛太や太陽のことを悪く言われてたら庇うし)」

俺はそう思いながらこの場から立ち去った。だってこれは……

「(カコと想楽が解決することだから……)」

俺はそう思いながら、集合場所まで走っていった。

ーー遠足終わりーー

「やばーい。雨降りそう～！」

「想楽。傘持ってないの？」

「……はい」

先まで悪口言っていた奴らもこんなときだけ想楽を頼る。何て都合のいい関係なんだろう。

「あ、あの想楽ちゃん話が…！」