12歳～片思い～part2 (ページ30)

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78話ページ30

「そんなんじゃないって。カコと俺は幼馴染ってだけ」

「えー？！本当かよ！てゆうかそんな話初めて聞いたんだけど！？」

「初めても何も今話したからな」

俺はそう言ってカコを後ろに隠す。男子の苦手意識がマシになったとはいえ、こんなに沢山の人(ましてや男子)に囲まれるのは嫌だろう。俺は早々に切り上げることにした。

「……じゃあ、そろそろ行くなー」

「おうー！また道場で！」

そう言ってみんなは去っていく。俺は殻に閉じ籠っているカコを起こしながら謝った。

「カコ、ごめんな。うるさかったよな？」

「う、ううん……だ、大丈夫……！」

と、言ってもまだ態度がギクシャクしている。うーん、何かカコを気をまぎわらすいい方法は……

「あ、型抜きやってる。いこうぜ、カコ」

そう言って俺はカコの手を引いた。

ーー
ー

「って、あれ？Aにカコちゃん！？」

「あ、太陽に……姫宮。2人も初詣？」

そういや、道場のみんなが『Aと小日向も抜け駆けかよ……！』とか言ってたな。それ姫宮のことか……まぁ、姫宮もボロを出さない限りは可愛いし優しいしな。俺はもう本性知ってるからなんとも言えねぇけど

「……Aくんにカコちゃんも型抜き？カコちゃんこういうの得意そうだよねー」

「ああ、カコは絶対に一番難しいのをクリア出来ると思うぜ！カコ凄く器用だし！」

そう言って俺が誇らしげにそう言った直後、『出来た……』と小さい声が聞こえた。

「え……？カコ出来たの？」

「すごーい！それ一番難しい奴……！」

「おっちゃん、賞品あげなよー！」

そんな野次馬の声も広がっていく。……こんな短時間で全部くり抜いたの？カコの器用度がどんどん上がってきている気がする……。

「本当、俺の予想遥か先上回ることあるよな。カコって……」

予想外のところで大胆になったりするし。カコのことは俺が一番よく知っている存在だとそう思っていた。だというのに……こんな姿を見ると、俺って意外とカコのこと理解してなかったんだって思う。それはこのときだけじゃない。それは瑛太の住所の件だってそうだ。

「(カコの成長は嬉しいけど、何だろこれ)」

モヤモヤする。今までは俺を頼ってくれていたのに。最近は減っている。それは成長だ。嬉しいことなのにモヤモヤする。

「……？Aくん？」

「あ……ご、ごめん。何？」

モヤモヤが広がっていく。こんな気持ちになってはいけないのに。だってこれじゃーー

「(俺がカコのことを下に見てるみたいじゃん…)」

と心の中で呟きながら。