12歳～片思い～part2 (ページ27)

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75話ページ27

……俺は瑛太のために気持ちを言わなかった。だけど想楽を困らせるようなこともしたくない。

「……って思ってたのになぁ」

もう、抑えられない。言い訳も全部崩れたし、もういっそのこと……

「年賀状はラブチャンスなの！会えない冬休み中に存在アピ出来るし、二人だけのメッセージでドキッとさせられるし！」

そんなことを思っていると、小倉の声が聞こえてきた。年賀状か……毎年太陽と瑛太ぐらいにしか年賀状なんて出さないんだよな…カコとは低学年のときはしてたけど四年生の頃からお互いにしなくなったし。

「年賀状か……」

「年賀状…」

そんな二人の声が聞こえてきた。そういえば……カコって好きな人……いるのかな？そう思っていると、周りがざわめきだす。

「高尾くん！」

「桧山くん！」

「堤くん！」

そんな声が左右から飛んでくる。やはり、人気者は大変だ。そう思いながら俺は次の授業の準備をしていると声をかけられた。

「Aも住所聞かれてないよな！？」

「え？うん」

「よっしゃあ！仲間！」

まぁ、年賀状なんて貰っても置き場所に困るし、渡す予定もない奴から貰っても反応に困るし。そもそも俺瑛太や太陽と違ってモテないし。

「そろそろ授業始まるな」

そう言って俺は音楽室へと移動した。

ー放課後ー

放課後。家に帰る途中、偶然カコに会った。会ったとゆうかカコが待っていた、と言った方が適切な気がするけど。

「カコ？どうかした？」

「あ、あのね……Aくん。今年は年賀状を出してもいい？」

「……年賀状……？別にいいけど……」

四年生以来一度もやっていない年賀状。何気なくカコの手を見るとかじかんでいる。

「まさかこの為だけに……待ってたの？」

「…め、迷惑だった……？」

「いや、迷惑だとかそういう問題じゃなくて……！寒いだろ！風邪でも引いたらどうするんだよ！カコはもっと自分の身体大切にしろよ？」

「……ごめん。Aくん」

俯いている。そんな顔をさせたくて言ったわけではないのに。想楽にもカコにもそんな悲しい顔をさせたくない。幼い頃からカコは俺にとって妹的な存在だった。だから…

「俺はカコのこと好きで大切なんだ。だから、そんなことを聞かなくたって年賀状を出してくれていいんだよ」

そう言って俺はカコの前から立ち去った。途中から気が恥ずかしくなってカコの顔をまともに見られなかったからだ。