69話 ページ21
「好きな人を奪った……?杏ちゃん…何を……?」
ああ、何て醜い。早く認めたらいいのに
「私はさらのせいで好きな人を失った!あの日の絶望は昨日のことのように覚えているわ」
「好きな人……?何を言っているの?」
イラつく。もう話したくない。私がその場から立ち去ろうとした時……
「……あれ?杏ちゃん……?」
好きな人の声が聞こえてきた。でも、それは今聞きたくなかった声でもある。
「た、太陽くん……」
あの日から私は太陽くんに恋をしていた。二度目の恋だったというのに相原カコに取られた。結局私が恋している人は私ではなく、違う人の方に行ってしまう
「どうしたの?杏ちゃん?」
「太陽くん……ごめんね…」
そう言って私は太陽くんの手を引っ張ってその場から離れた。気づいた時には私の家の前まで来ていた。
「あ……」
これがいつもの「姫宮杏」なら計算して太陽くんをこの場所に連れてこれたかもしれない。でも、今の自分は臆病な姫宮杏だ。何を言えばいいのか分からない。
「杏ちゃん……急にどうしたの?」
心配そうに太陽くんは私のことを見てくれる。いつもそうだ。5年生のときもそうだったように……
ー1年前ー
「姫宮杏です。よろしくお願いします」
この頃の私は好きな人を取られ、人間不信に陥っていた。だけどそれは好かれないと言うのはわかっているのでそれとなく、距離を測って仲良くするだけの人生を送ろうと思っていた
「俺の名前は小日向太陽。よろしくね。姫宮さん」
「よろしく……小日向くん」
この頃の太陽君の印象は女子が嫌がることはしないしさりげない優しさもある男の子だった。だから比較的話しやすくて楽しかった。
「杏ちゃんは誰が好きなの?」
「え……急に何?心愛ちゃん」
唐突に浜名が聞いてきた。正直言ってこのタイプは私の苦手なタイプなのだが……
「いないよ。今は」
「そっか〜!」
そう言って浜名は去っていく。なんだったんだ。あの女
「(あの女からあいつの匂いがするのは気のせいかしら?)」
私はそう思いながら次の授業の準備をした。
ー音楽の時間ー
「はい。では、隣の席の人とペアになって」
今日は発表会の練習だ。隣の人と好きな楽器を決めてから練習という形だ。
「いいな…心愛ちゃん…高尾君と一緒に練習するなんて……」
そんな女子の羨ましい声が聞こえてくる。確かに高尾はイケメンだ。でも、浜名など眼中にないようだ。浜名の言葉をさらっとかわすし
「(哀れな人)」
私はそう思いながら小日向君の方を見た
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かんな(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!そう言ってくれると嬉しいです! (2020年8月8日 8時) (レス) id: d024afc4b4 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 応援してます!!頑張ってください (2020年8月7日 18時) (レス) id: 41416aa890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんな x他1人 | 作成日時:2020年7月4日 11時