12歳～片思い～part2 (ページ20)

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68話ページ20

「……何よ。それ」

我慢の限界だった。何故みんな相原カコの方に行くのだろう。何故私が好きになった人はみんな別の人に行くのだろう？

「…は。ダサっ」

あれだけ計画を立てたというのに何一つ上手くいかなくて。それどころか太陽君は相原カコのことを好きになっちゃって。

「杏ちゃんてさ、うざいよねー」

突然そんな声が聞こえてきた。…いつもの取り巻き達だ。本人がいない所では悪口を言って私がいれば媚びを売って…

「分かる！想楽のこと敵対しすぎ。正直言って杏より想楽の方が可愛いもんね」

私は思わず顔を上げた。…私は可愛いと昔から散々言われ育った。悪口を言われることもあったがそれは『可愛いから調子に乗ってる』とかそんな悪口だった。だというのに…

「(想楽ちゃんの方が可愛いですって…？)」

屈辱だ。何故あんな奴に負けなくてはいけないのだろう？とんだ勘違いを起こして、両思いだと決め込んでいた奴に。

「あー、それ分かる！想楽ってかっこいいだけじゃなくてかわいいもかけ備えてるもんね」

「…っ」

私はトイレのドアを静かに開けて一目散にトイレに出た。幸いドア付近のトイレにいたので多分気付かれてはいないだろう。

「……本当に腹が立つ」

それは先の奴？それとも自分に？頭の中でそんな葛藤を描く。
　
「…疲れた」

結論はそれだった。結局私は私だった。どんなに悪女を演じても仲直りされたら意味がないし。やはり私は悪女になりきれない普通の女だった。

「……もうやめた」

もう太陽君のことも諦めて転校してしまおうか。そんなことも脳裏の裏にちらつく。

「あはは。本当にカッコ悪い」

私はそんなことを言いながら教室に戻った。

ーーー
ーー
ー

「…何で、こんなことになっちゃったのだろう」

私はため息を吐く。1番信頼していた友達に取られた時から私の心は閉じたままだ。だから、そこそこな距離を取って、仲良しごっこをやっていたつもりだったのに！

「……はぁ」

私がため息を吐いた瞬間に、後ろから声が聞こえてきた。これは、前もここで聞いた声だ。

「杏ちゃん！！」

私はまたため息を吐く。今日は最悪な日だ、と心の中でそう思いながら。

「……さら…」

美しい黒髪ロングに透き通るような白い肌。彼女を見れば誰もが『美少女』と言うだろう。

「……ねぇ、杏ちゃん。もう遊べないの？」

煽ってはいないというのに彼女の言葉にイラついてしまう。

「よく言うわ。私の好きな人取ったくせに！」

私はそう言ってさらを睨みつけた。