12歳～片思い～part2 (ページ15)

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63話ページ15

太陽side

「…カコちゃん」

あのカコちゃんの表情は絶対に良くないことだ。何かあったのだろうか。そう思うと、自然に手は動き、カコちゃんの手を握っていた。

「太陽くん……？」

カコちゃんの声が聞こえても俺は手を離せずにいた。だって……手を離したらカコちゃんと二度と会えない気がするから

「…カコちゃん、Aと何かあった？」

俺がそう言うと、カコちゃんは怯えた表情をし、震えている。俺なら、カコちゃんをこんな顔にさせないのに……と思うと同時に疑問に思った。何で…こんなこと…

そう思ったのと同時にカコちゃんは走り出す。それを追いたいと思うのに。何故か足は上がらなかった。後ろでコタローが心配そうにしている。

「ごめん。コタロー。大丈夫だから……」

自分にそう嘘をつきながら、バクバクとした心臓は鳴り響くことは止みそうになく、そして俺は一つ気付いた。

「(俺……カコちゃんに恋してるんだ……)」

早く追いかけなくちゃいけないのに。こんなことを自覚している場合ではないのに。でも、身体がどうしても言うことを聞かない。

我に帰ったときはもう遅く、カコちゃんは何処にも居なかった。

「(当たり前か……)」

俺はギュッと拳を握りしめ、ため息を吐く。何をやっているのだろう、と自分の行動を振り返ってそう思った。だって、カコちゃんと久しぶりに会えたのに追いかけもせず、恋心を自覚するなんて…

「………(こんな俺がカコちゃんの隣にいることなんて望んじゃいけないんだ……)」

そう思うと悲しくなったし、虚しくもなった。でも……

「(……こんなことを言ったら、皆見にまた『逃げんの？』て言われるかな…)」

この前、皆見にそう言われ、あのときは意味がわからなかったけど、今なら分かる。皆見もきっとカコちゃんのこと……

「(でも、Aは？Aは誰が好きなの？)」

そんな俺の思いは誰にも届くことはなかった。

ーーー

カコside

「カコちゃんごめん！昨日あんなことして！」

昼休みに太陽君が来てそう言ってくれた。多分、昨日のことなのだろう。私は首を横に振りこう言った。『ううん、大丈夫だよ。ありがとう。太陽君』と。

太陽君は少しだけ意外そうな顔をしていたけど、すぐ笑顔になりながらこう言う。

「よかった。俺嫌われたんじゃないかなーって不安だったんだけど良かったよ！あ、もうチャイムが鳴るからまたね～」

そう言って太陽君は二組の教室へと入っていった。