検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:584,953 hit

参拾 ページ31

翌日、少女の意識が戻った。


私は降谷の命令で、しばらくの間少女とともに行動することになった。


公安警察唯一の女性だからだ。


他は全員強面の男ばっか(一部例外除く)だからね。


絶対に近付けさせない。この子が怖がっちゃう。





『初めまして。私、前田Aといいます。あなたのお名前を教えてもらえませんか?』





なるべく丁寧に。警戒心を持たせないように、慎重に質問した。





「……な…奈未」


『奈未ちゃんね。……ごめん。名字は言える?』


「あ……翁…です」


『おお、翁っていうんだ。珍しいね』


「……うん。よく言われる……」


『だろうね。私なんて、そこら辺にいそうな感じだからな〜』


「でも……覚えやすいよ?」


『そうなのよ。唯一のメリットがそれなのよ』


「うん。それに……おねえさん、前田っぽい顔してる」


『前田っぽい顔って何!?』





私がそう返すと、奈未ちゃんはクスクスと笑い始めた。


よ、よかった。笑えるだけの元気はあるらしい。





「フフフっ、おねえさんって面白いね」


『そ、そう?』


「うん!」





どうやらこの短い会話の中で、緊張が解けたらしい(大したこと言ってない気がするが)。


にぱーっと可愛らしい笑顔をこちらに向けてきた。あ、ヤバい。母性が……。





『ん゛ッ……そ、それはよかった。……ところで、私ちょっと奈未ちゃんに聞きたいことがあるんだけど、いい?』


「うん。いいよ」





私は、生年月日や年齢など、身元特定に繋がる情報を聞いて行った。


そして、今日のところは事件のことを聞く前に切り上げ、奈未ちゃんに関して分かったことを報告しに行った。









後日、降谷から知らされたのだが……私は驚きを隠せなかった。


翁奈未という少女は、いくら調べても、どこの国にも国籍を持っていなかったのだ。

参拾壱→←弐拾玖



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (827 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2443人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

推しが尊いマン(プロフ) - 更新マジ感謝です。ありがとうございます (2021年1月14日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - 梨色さん» やったああああ!!!ありがとうございます!!!!楽しみに待ってます!! (2021年1月11日 16時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
梨色 - まだ読んでくださる方々がいらっしゃることに対し感動しました。少しだけ更新頑張ってみようと思いますので、少々お待ちください。まずはストーリーを思い出します笑 (2021年1月11日 15時) (レス) id: bfcd433b02 (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - そこで終わるのぉ!?更新待ってますー!!! (2021年1月11日 8時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
ふる - 34話のは合ってると思います!だって彼らのセリフですもんね?お話面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年2月15日 17時) (レス) id: 91b037fbe2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:梨色 | 作成日時:2018年5月5日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。