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拾参 ページ14

上塚政人の視界に入り、ワザと気を引くような仕草をして様子を窺う。


彼が口元をニヤリと歪めたのを確認すると、私は背を向け、歩き始めた。





すると案の定、後ろから声をかけてきた。


私はゆっくりと振り返り、上塚政人に目線を合わせた。





『あら、私に何か御用?』


「ああ。是非とも君と話しをしたいと思ってね。……今一人かい?」


『ええ』


「それはよかった」





上塚政人はそう言うと、自然な流れで私の手を取り、バーカウンターに移動した。


私の目の前に用意されたのは、オーロラというカクテルだった。カクテル言葉は確か“偶然の出会い”。


……まあ、そりゃそうなんだけども。





『……あなたは飲まないの?』


「君が選んでくれないか?」


『私、そんなに詳しくないわ』


「直感でいいんだ。君が選んでくれたものを飲みたい」





……マジか。


ちなみに、カクテルに詳しくないというのは嘘だ。大体の知識は頭の中に叩き込んである(トリップする前、カクテルにハマってよく飲んでいたのだ)。


その状態で私が選んだカクテルは……コロネーションだった。カクテル言葉は“あなたを知りたい”(色んな意味で)。





それが目の前に差し出された瞬間、彼は目を見開いた。





「君……ワザとかい?」


『……何のことかしら?』





私はそう言って、目を細めた。


上塚政人は私の真意を読み取り、くつくつと笑い始めた。





『フフッ、どうしたの? そんなに笑って』


「フッ……いや、正直期待以上だと思ったものでね」





彼はそう答えると、私の手に指を絡めてきた。


どうやら私のことを気に入ってくれたらしい。





「綺麗な手だな。それに目も髪も……君はそこら辺の女よりも断然魅力的だ」


『私が魅力的? あなた眼科に行った方がいいわよ』


「何を言っているんだ。今でさえ他の男達が君のことを狙っているんだ。……逃したくはないな」





彼はそう言った瞬間、絡めていた手を離し、腰に回してきた。









――――――うっわ、コイツの手付き気持ち悪ぅッ!!

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推しが尊いマン(プロフ) - 更新マジ感謝です。ありがとうございます (2021年1月14日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - 梨色さん» やったああああ!!!ありがとうございます!!!!楽しみに待ってます!! (2021年1月11日 16時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
梨色 - まだ読んでくださる方々がいらっしゃることに対し感動しました。少しだけ更新頑張ってみようと思いますので、少々お待ちください。まずはストーリーを思い出します笑 (2021年1月11日 15時) (レス) id: bfcd433b02 (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - そこで終わるのぉ!?更新待ってますー!!! (2021年1月11日 8時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
ふる - 34話のは合ってると思います!だって彼らのセリフですもんね?お話面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年2月15日 17時) (レス) id: 91b037fbe2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨色 | 作成日時:2018年5月5日 20時

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