_女帝Ｘ_【TWST】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,147 hit

プロローグ６　ユウページ8

.

鏡は何も喋らない

ただ、考えるように俺を見つめるだけ
そう思うと、辺りも一括して静かになっていた

皆が俺に注目している

吐き気がする

目眩がする

…気分が悪い

そんな中、ようやく鏡は口を開いた

「……汝の魂の形は……分からぬ」

「なんですって？」

その言葉に俺より早く反応したのは男

どうやら声に焦りが見える

「この者からは魔力の波長が一切感じられない。色も、形も、一切の無である」

「よって、どの寮にもふさわしくない！」

畳み掛けられた

寮？というまた疑問が追加されたものの、特に何も思わなかった
思わなかったが、それは俺だけのようで、周りはもう、その話題の山

耳を澄まさなくても聞こえてくる、俺の話

その中でも男は格別で、

「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてあり得ない！生徒選定の手違い等、この百年ただの一度もなかった筈。一体なぜ…」

そういえば、学園長だったな、と思い出す

責任がのし掛かっているんだろう
だから俺は、人違いとあれほど…

俺は男に文句を言いにいこうとし、一歩を踏み出す

その時、

「もごもご…ぶはっ！だったら、その席、オレ様に譲るんだゾ！」

危ない気配と共に、グリムが男の腕から逃れた

.