裏の僕も愛してくれますか？ーYXー (ページ2)

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LH「イーシンー！！」

とたとた、って走って、この広すぎる厨房に入ってくるルハン。

足音がよく響いてる。

『えっと、このお盆に乗せて、もってけそう？』

LH「うん！ありがと！

今日はこの後来客も無いし、坊ちゃんは外
食で済ますらしいから外商のほうに戻っ
て！」

『は～い。』

じゃあね！ってお盆を持って、この部屋を出ていくルハン。

そっかぁ、もう外商の方行かなきゃかぁ

帽子をとって、コックコートも脱いで、長袖のTシャツとズボンスタイルになる。

僕が、この家の、コックじゃなくなる、瞬間。

厨房を出て、隣の部屋の更衣室に入る。

"LAY"

と銀色の文字で黒いネームプレートにそう刻まれているロッカーの前に立つ。

親指をロッカーに付いているパネルのところに数秒当てると、キィ、って音を立ててロッカーが開いた。

さすがSM財閥の坊ちゃんが住むお屋敷。

こういう社員用のものだって、何でも最新で、セキュリティーがしっかりしている。

初めてここに来た時は、ほんとに何もかもが今までの自分の生活とは現実離れしていて、びっくりしたなぁ。

今じゃ、ここに来て数年は経つからもう慣れたけど。

白いシャツに黒のスーツを羽織って、ネクタイを締める。

前髪もさっと後ろに流して、オールバックで固めとく。

最後に、胸元に"LAY"って刻まれた名札を付ける。

『よし、と…』

僕が、チャンイーシンじゃなくて、"LAY"になる瞬間。

さて、本社に向かいますか。