【実況者】本当の君。 (ページ14)

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「えっ、知らんかったの！？」

私と清川さんの微妙な空気を一番に察したのは、『レトルト』さんだった。
どうやら清川さん以外の三人は、私が彼らが実況者であることを知っている事を前提で喋っていたらしかった。

「すみません、YouTube自体あまり見ない人間でして…。」
「や、俺たちも勝手に勘違いしてた節あるから…なんだったらキヨの彼女でも紹介されんのかと思ってたわけだし。」
「そうそう、急にもう一人連れてって良いだなんて電話くるからさ。」
「ってことで賭けは俺の勝ちね！キヨくんが彼女連れてくるとは思ってなかったもん！」
「お前ら俺で勝手に賭けんなよぉ！」

この中では年長者らしい『ガッチマン』さん、ごめんねと申し訳なさそうに謝ってくれた『牛沢』さん、わたわたと清川さんと私を見比べる『レトルト』さん。
そして、真美が見たことあると言っていた『キヨ』さん。

「清川さんって、顔出しされてます？」
「一応。年に何本か実写でも撮ってます。」
「なるほど、だから真美が見たことある気がするって言ってたんですね。」

納得した、という風に頷いてだし巻き卵を口に運ぶ。
家に帰ったら動画を見てみようかとぼんやり思った。

「実況者って知らないってことは二人は何の知り合いなの？」
「恩人です。なのに今日もまた助けていただいてしまいました。」

ガッチマンさんの言葉に、北海道であった事を話す。
話終わった時には、皆微妙な顔をしてこちらを見ていた。
…清川さんを褒めちぎる流れだと思ったのだけど。

「Aさん、お祓い行ってきた方がいいんじゃない？」
「うっしー直球過ぎでしょ。」
「あ、北海道であんなことがあったから真美と…友人と一緒に行ってきたんですよ。」
「行ってきたのにそれなん…？俺の地元の厄祓いで有名な神社教えてあげる。」
「俺も教えるよ。ここの神社、嫁さんおすすめなんだよね。」

レトルトさんとガッチマンさんの教えてくれた神社をスマホでメモをとる。
その流れでなんとなく皆さんと連絡を交換してしまった。
なんかあったら気軽に連絡してねと言われたが、中々難しいと思うのは私だけだろうか。

「えぇ…俺が一番初めに知り合ったのにレトさんとかうっしーにヘルプの電話行ったらヘコむわ。ガッチさんならまだしも。」
「なに、なんで俺なら良いの？」
「俺らン中で年長者だし？」

だから連絡するなら一番は俺ね、と言われて肯定は返せずとりあえず笑っておいた。