【実況者】本当の君。 (ページ13)

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「んで、なんかあったの？」

清川さんがあれもこれもと注文し始めて、その品が出揃って落ち着き始めた頃、清川さんの隣に座っているこの中では一番小柄な男性が最もな疑問を口に出した。
釣られて目の前に座っていた二人の視線が自然と私に集まった。

「あ、そうだった。説明するわ。」
「お前、呑気にからあげ食ってんなよ。」
「そうだぞ、流石に俺たちに説明してくれー？」
「女の子困ってるよ、可哀想じゃん。」
「俺めっちゃ怒られてるんだけど。」

ケタケタと笑いながら箸を置いた清川さんは、今日の出来事を説明する。
しつこく言い寄られていた私を助けたこと、その後ろを着いてくる男がいた事、そのまま独りにするのは怖いので連れてきた事。
清川さんの整理された話を聞いて、清川さんのご友人は納得するように頷いた。

「え、何そいつこわ。」
「…うーん、ストーカーじみてるなぁ。」
「キヨくんめっちゃ良いことしたじゃん偉い！」
「へへ、褒められた。ね、言ったでしょ、見捨てた方が怒られるって。」

褒められたことに満足そうに笑う清川さんに、思わず笑ってしまう。
大変だったね、怖かったでしょ、と慰めるかの如く大皿が寄せられて、勧められるがままに小皿に取った。
歓迎会では呑気に食べてる暇もなかったので、お腹がいっぱいというわけでもない。

「っていうか、俺たち自己紹介しなきゃじゃない？」
「あ、ごめんなさい、私からするべきでしたよね。改めまして、AAと申します。よろしければ受け取って下さい。」

名刺を取り出してサッと配る。
本店の部長に連れ回されることによって身についた技術だ。

「えっ、ここって結構大きい広告会社だよね？」
「あ、まあ…本店は大きいですけど、私は支店の社員ですので…。」
「へぇ〜！すぐわかったのってガッチさん案件でももらったことあんの？」
「いやガッチさんじゃなくね？確かレトルト来てなかった？」
「うっしーよく覚えてんね。うん、俺受けたことあるわ、結構前に。」

四人の会話を聞いて、顔には出ないが頭がフル回転していた。
どうやら、私の会社に関わる人達らしい。
『がっちさん』、『れとると』、『うっしー』…そして、『きよ』。
聞いたことがあるな、というかあれ……ゲーム実況者では？？

そろり、と隣に座る清川さんを見上げる。
私の視線に気づいた彼は視線を彷徨かせてから、眉を下げて困ったように笑った。